2015年08月21日
フェリアーのブラームス、マーラー、グルック[SACD]
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プラガ・ディジタルスでは版権の切れた古い音源を続々とリマスタリング、SACD化しているが、キャスリーン・フェリアーの演奏集は都合2枚がリリース予定で、これはその第2集になる。
第1集の方は現在準備中で、近々マーラーの『大地の歌』と3曲のリュッケルト・リーダーがブルーノ・ワルター指揮、ウィーン・フィルとの1952年の名演で復活することになる。
このSACDではブラームスの『アルトラプソディー』(1947年)、『ふたつの歌』(1949年)及び『四つの厳粛な歌』(1950年)がいずれもデッカへのセッションで、後半のブルーノ・ワルター、ウィーン・フィルとのマーラーの『亡き子を偲ぶ歌』(1949年)と、アムステルダム・ライヴのグルックのオペラ『オルフェオとエウリディーチェ』からのアリア「澄み切った空」(1951年)はEMI音源になる。
筆者が聴き比べた方のCDはデッカのDVD付センテナリー・エディションとEMIコンプリート・レコーディングス3枚組で、どちらも2012年の生誕100周年を記念してリリースされたものだ。
先ず『アルトラプソディー』はレギュラーCDではヒス・ノイズがかなり入っていて、フェリアーの歌声が高音になるとわずかだが再生しきれない音割れの状態を引き起こしているが、こちらでは声はより潤っていて音割れは回避され、オーケストラの高音の抜けも良い。
そのためかノイズも抑えられて聞こえる。
『ふたつの歌』ではオブリガートのヴィオラがやや厚かましく響いていたのがバランスのとれた状態で再現されている。
これは『四つの厳粛な歌』にも共通していて、バランスの改善でフェリアーの歌唱が一歩前に出たような立体感があり、ニューマークの朴訥としていたピアノの響きにも磨きがかかってその表現力が聴き分けられるようになった。
一方『亡き子を偲ぶ歌』は当時のEMIとしてはかなり良質な録音でノイズも少ないが、CDではやはり平面的になっていた音響に奥行きが出て、フェリアの声も一層瑞々しく蘇っている。
最後のアリアもこの時代のライヴとしては及第点の音質で、SACDでは劇場空間をイメージさせる広がりが感じられる。
キャスリーン・フェリアーは1953年に41歳で、声楽家としてはこれから円熟期を迎えようとする時期に亡くなった。
だから彼女はその直後に訪れるステレオ録音時代の恩恵に預かることができなかったが、比較的良い状態の録音もかなり遺されている。
そうした音源は今までに繰り返しリイシューされて来たが、このSACDが現在聴くことのできる最も良好な音質に改善されていることは確実だ。
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