2015年08月21日
サヴァリッシュ&フィルハーモニア管のウェーバー:序曲集
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本盤はサヴァリッシュのロンドン・デビュー時代にEMIに録音された1枚で、1988年にデジタル・リマスタリングされた破綻のないステレオ・セッション録音だが、1958年の古い音源なので同時代の他の大手レーベルの音質と比べると中低音の不足と臨場感にやや欠ける嫌いがあるのも事実だ。
この序曲集はフィルハーモニア管弦楽団を指揮したサヴァリッシュ初期のアルバムで、オーケストラの街と言われるロンドンでも評価の高かったフィルハーモニアの音楽性と表現力を巧みに統率した幅広いダイナミズムが爽快な印象を与える。
ウェーバーの序曲は既にオペラの筋の展開と密接に結び付いていて、その意味で彼はワーグナーの先駆者的な存在だが、一方で起承転結を心得た明快な構成と劇的な変化を伴う曲想は、単独で演奏されても劇場空間を髣髴とさせるスペクタクルな効果を上げることができる。
サヴァリッシュのテンポは快速で、それぞれの序曲の生き生きとしたリズム感を生かしたアレグロと、シンプルに歌わせるレガートのフレージングとの対比が極めて美しい。
このCDには7曲の作品が収録されているが、中でも規模が大きく演出的効果に凝っているのが『魔弾の射手』と『オベロン』で、サヴァリッシュは几帳面にスコアを辿るだけでなく、そこに溢れんばかりの情熱を託した作曲家の熱いメッセージを伝えている。
ウェーバーの序曲集の名盤と言える録音がカラヤン&ベルリン・フィル盤、それにスウィトナー&シュターツカペレ・ベルリン盤など数える程しかないので、このサヴァリッシュ&フィルハーモニア盤の存在は極めて貴重なものである。
一昨年ワーナーから彼の追悼盤としてイコン・シリーズのひとつとして交響曲集がリリースされたが、サヴァリッシュのEMI音源の中には他にも興味深い録音が多数存在する。
網羅的な録音集はコリア盤33枚組で、勿論この序曲集も含まれているがバジェット盤にしては割高なのが欠点だろう。
尚もう1枚の同アンコール・シリーズにはメンデルスゾーンの交響曲第2番『讃歌』が加わっている。
折りたたみのリーフレットに日本語によるごく簡易なライナー・ノーツが掲載されている。
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