2015年08月22日

ジュリーニのモーツァルト:レクイエム(旧盤)、他


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昨年2014年はカルロ・マリア・ジュリーニ生誕100周年に当たり、一昨年ワーナーからはジュリーニ初期の録音になる全3巻計30枚のCDセットがリリースされたが、これに含まれていないのが同EMI音源による多くのオペラ全曲盤や宗教曲で、このモーツァルトの『レクイエム』はフィルハーモニア管弦楽団と同合唱団を振った1978年の第1回目のセッションになる。

ジュリーニはほぼ10年後に同メンバーとソリストを入れ替えた形で再録音を果たしているが、この演奏ではテンポが比較的速めであるために、曲のしめやかさよりもむしろ流麗で鮮烈な音響に特徴がある。

オーケストラ、コーラス共にその完成度は高い。

4人のソリストに実力派のヘレン・ドナート、クリスタ・ルートヴィヒ、ロバート・ティアー、ロバート・ロイドを起用していることも緻密なアンサンブルを支える上で最良の効果を上げている。

ただ、テノールのティアーの発声が他の3人と溶け合わないのが惜しまれる。

ジュリーニはこの曲の成立にまつわるデモーニッシュなエピソードやあざといロマンティシズムを払拭して、独唱陣だけでなくコーラス・パートへのきめ細かい指示やオーケストラのバランスを巧みにコントロールすることによって、かえってモーツァルトの曲想をフレッシュでダイレクトに再現している。

しかしその一方で、ジュリーニの描き出すモーツァルトはあまりに重く、この荘重さがジュリーニの特質かもしれない。

モーツァルトの未完の宿命的作品の中から、彼は何ものにも替えがたい“荘重さ”を選びとった。

尚このセッションでは要所要所にオルガンの低音を重ねているが、これは今は無きロンドン・キングスウェイ・ホールのオルガンの響きと思われる。

カップリングはモテット『エクスルターテ、ユビラーテ』で、ソプラノ・ソロがバーバラ・ヘンドリックス、ネヴィル・マリナー指揮、アカデミー室内管弦楽団の演奏に替わる。

この作品はわずか16歳のモーツァルトがイタリアのカストラート、ヴェナンツィオ・ラウッツィーニのために作曲したもので、当然カンタービレと敏捷なアジリタのテクニックが欠かせないが、ヘンドリックスの声はやや重くアカデミアの軽快なオーケストラに乗り切れない恨みがある。

コロラトゥーラの切れもいまひとつだし、最高音のc'''も突出気味でこの曲に関してはキャスティング・ミスではないだろうか。

こちらは1987年の録音で、一方『レクイエム』の方も1998年にデジタル・リマスタリングされているので音質はどちらも極めて良好だ。

CD内にPDFフォーマットによるラテン語典礼文及びモテットの全歌詞に独、英、仏語の対訳が掲載されている。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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