2015年09月03日
アルゲリッチ&アバドのピアノ協奏曲集
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昨年惜しまれて亡くなったクラウディオ・アバドと、彼と長きに亘って親密なパートナー・シップを続けて名演を残したマルタ・アルゲリッチとの協奏曲集5枚組セットで、デビュー当時から名録音を生み出してきたアルゲリッチ&アバドによる、どれもが作品の核心を鋭く抉る永遠の名演集。
5枚とも現行で個別に入手できるが、プライス・ダウンされているので新規に購入したい方にとっては朗報に違いない。
筆者は本セットに収められた全てのディスクを既に購入しており、ショパン、リスト、チャイコフスキー、ラヴェルの演奏については本ブログでレビューを投稿済みである(それ故本セットを購入しているわけではないことを予めお断りしておきたい)。
データを見ると、初出時にカップリングされていた協奏曲以外の曲目は今回除外されている。
尚後半の3枚は総てライヴ録音になるが、音質はいずれも極めて良好。
彼らのコラボの始まりを飾っているのがプロコフィエフで、両者が得意にしていた20世紀の作品の演奏として流石に隙のない鮮やかな手腕を見せている。
ショパン、リスト、そしてチャイコフスキーと続くレパートリーではスピリットに突き動かされて疾駆するアルゲリッチを、しなやかで緻密なオーケストレーションでフォローし、充分に歌わせることも忘れないアバドの十全な采配が秀逸だ。
一方ラヴェルはベルリン・フィル及びロンドン交響楽団との2種類の音源が入っていて、古い方はより新古典主義的な整然とした形式美を感知させているが、新盤では彼女がファンタジーの翼を広げてラヴェルの妖艶な魅力を醸し出している。
ベートーヴェンでは第3番がいくらかロマンティックになり過ぎる傾向があって、作品の構造美の表現が二の次になっているのは否めないだろう。
室内楽はともかくとして、彼女がベートーヴェンのソナタに取り組まない理由はそのあたりにあるのかも知れない。
モーツァルトに関してはアバドはこの2曲を過去にグルダやゼルキンとも協演しているし、第20番ではピリスとの新しいレコーディングが話題を呼んだ、彼にとっては経験豊かなレパートリーだったが、奇しくもアルゲリッチとの演奏が最後になってしまった。
どちらも彼女のメリハリを効かせたソロが清冽で、いまだに衰えない才気煥発な奏法が印象的だ。
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