2015年08月30日

シュタルケル&ルージチコヴァーのデュオ・リサイタル '71


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1971年5月のシュヴェツィンゲン音楽祭からのライヴ録音で、当日はシュタルケルとチェコのチェンバリスト、ズザナ・ルージチコヴァーとのデュオ・リサイタルからJ.S.バッハのオブリガート・チェンバロ付のヴィオラ・ダ・ガンバのためのソナタ第1番ト長調BWV1027及び第3番ト短調BWV1029の2曲と、シュタルケルが無伴奏チェロ組曲第5番ハ短調BWV1011、ルージチコヴァーが『半音階的幻想曲とフーガニ短調』BWV903をそれぞれ演奏したオール・バッハ・プログラムの一晩の模様が収録されている。

ヘンスラーからリリースされている過去の放送用音源はいずれも録音、保存状態が共に良好で、このライヴも良質のステレオ録音になり客席からの雑音や拍手は皆無だ。

尚ガンバ・ソナタに関しては、6年後に彼らはプラハで全曲セッション録音も行っているので、このデュオ・リサイタルがきっかけになっているのかも知れない。

またシュタルケルはマーキュリー時代にハンガリーの盟友ジェルジ・シェベックとピアノ伴奏盤も残しているし、ルージチコヴァーはフッフロやフルニエとも録音し、その後スークの弾くヴィオラと同曲集をスプラフォンからもリリースしているので、両者にとっても重要なレパートリーだったようだ。

圧巻は何と言ってもシュタルケルの弾く無伴奏チェロ組曲第5番で、改めて彼の真摯で飾り気のない、しかし覇気と深みのある演奏に聴き入ってしまった。

音楽的な構造を弾き崩すことなく明確に感知させながらも自由闊達さを失わない彼の表現は、書道で言えば楷書でも草書でもなく、行書に例えられるのではないだろうか。

プレリュードに続く一連の舞曲も本来の舞踏のスピリットを感じさせるし、また緩徐部分では歌い過ぎることなく、張り詰めた緊張感を保ち続けている。

ステージ上での彼は泰然自若としてあたかも禅僧のように半眼で演奏していたことが思い出されるが、第5番はスコルダトゥーラ調弦なので演奏技術も変則的になる筈だ。

しかしそのパワフルで幅広い表現力は並大抵のものではなく、ここでもやはりライヴ特有の覇気に満たされた、はじけるような擦弦音や激しいボウイングの音が捉えられている。

ルージチコヴァーはシュタルケルと同様に古楽だけでなく現代音楽にも造詣の深いチェンバリストだが、こうした彼女のフレッシュな解釈と大胆なレジスターの処理がシュタルケルのチェロに拮抗して斬新な効果をもたらしている。

彼女の使用楽器は常にモダン・チェンバロで、特にソロにおいてはヒストリカル楽器を聴き慣れた耳にはやや厚かましく響くかも知れない。

それ故ガンバの幽玄な響きには明らかに適さないが、このロココ劇場内で響くチェロとの音量のバランスは妥当で、それほど違和感なく鑑賞することができる。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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