2015年09月02日

リパッティの芸術[SACD]


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1950年に33歳で夭折したリパッティには残念ながらステレオ録音は遺されていない。

その上この時代の録音技術の水準を考えれば音質の向上はそれほど期待できないと承知しつつも買った1枚。

このディスクでSACD化の効果が比較的良く出ているのはソロ・ピースの4曲で、1950年のブザンソンの告別演奏会ライヴからシューベルトの即興曲第3番と第2番、1947年のリストの『ペトラルカのソネット』及び1948年のラヴェルの『道化師の朝の歌』がそれに当たる。

ピアノの音色に若干だが艶と潤いが出て音像もよりまとまって聞こえる。

中でもラヴェルは彼の究極的なピアニズムが面目躍如たる演奏だ。

熟考されたダイナミズムを逆にコントロールして、殆んど自然発生的に噴出させるテクニックは流石で、このSACD化によってその価値を蘇生させている。

また2曲のシューベルトでも当日のリパッティの病状云々のエピソードを全く知らない人でさえ彼の音楽性と巧みな表現力には感動せずにいられないだろう。

逆に言えば彼の演奏は、あの告別演奏会がバイアスを掛けて、かえって彼本来の評価を二の次にしてしまった感は否めないし、そのことは彼自身にとっても不本意だったに違いない。

一方モーツァルトのピアノ協奏曲第21番ハ長調は、ブザンソンの演奏会に先立つ1950年8月23日のルツェルン音楽祭でのライヴ録音になり、音源自体の質は鑑賞可能といったところだ。

むしろそれより古い1948年のシューマンの協奏曲のセッションの方が聴きやすい。

前者がルツェルン祝祭管弦楽団、後者がフィルハーモニアとの協演で、どちらもカラヤンのサポートによるものだが、シューマンに関してはこのディスクとは別にもう一種類、1950年にアンセルメ、スイス・ロマンドとのライヴも遺されている。

こちらは数ヶ月前にアンセルメのデッカ・コンプリート・レコーディング集で復活していて、演奏水準から言えばむしろリパッティの音楽性が良く示されたものだが、スクラッチ・ノイズの向こう側から聞こえてくるような海賊盤的な録音状態で、殆んどSACD化の意味がないのも事実だろう。

尚音源についてはライヴ・ブロードキャスト・レコーディング及びスタジオLPからの板起こしという表示が裏面にある。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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