2015年09月02日

ノイマン&チェコ・フィル他によるヤナーチェク特集盤


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プラガ・ディジタルスがリリースしている版権切れ音源の新リイシュー・シリーズは総てがSACDなので、そのつもりで買ったが当ディスクは何故かレギュラー盤のCDだった。

全曲ともコンサートから採られたライヴ録音で、ヴァーツラフ・ノイマン、チェコ・フィルの実力がいやがうえにも示されたお国物ヤナーチェクのアルバムだが、その音質と分離状態の良さや臨場感からも今回敢えてSACD化されなかったことが納得できる。

尚後半のオペラ『死の家から』のオーケストラのための組曲は、ヤナーチェクゆかりのブルノ・フィルハーモニー管弦楽団の指揮者で、この3曲をピックアップしてまとめたフランティシェク・イーレク自身の指揮になる。

ちなみにトラック1の同オペラの前奏曲はトラック9の組曲第1曲と同一曲で、ノイマンとイーレクの2人のチェコの指揮者で聴き比べることができる。

ノイマンはヤナーチェクが用いた発話旋律を強調することによって、音楽により言語的なメリハリをつけた効果を試みている。

客席及び舞台からのごく僅かな雑音が聞こえてくるが、この時代のライヴとしては稀にみる高い水準の録音で拍手も入っていない。

カンタータ『アマールス』はヤナーチェクのシュールレアリズム的なオーケストレーションとコーラスに支えられて、墓地に惹きつけられるように向かう、愛に目覚めた薄幸の孤児アマールスの死が鮮烈に描かれている。

こうした特殊なシチュエーションや心理を舞台音楽に写し取る描写能力とその音楽語法はヤナーチェクの独壇場だが、ここでもチェコ語の歌詞に密着した旋律を徹底して活かし切るノイマンのアプローチは流石に地に足が着いている。

光彩に包まれて母の墓の上に倒れるアマールス少年の最後は、第5楽章に殆んど狂気と紙一重の壮麗な葬送行進曲で締めくくられている。

アマールス役のテノールが語り手を兼ねているがカンタータとして全く違和感はなく、かえってこの作品から俗っぽい演出を避けた特異な統一感を与えている。

『アマールス』は録音自体が少なく、マッケラス、チェコ・フィルのセッションと並んで貴重な記録でもある。

ライナー・ノーツにはオリジナルのチェコ語の歌詞に英語対訳が掲載されている。

オペラ『利口な女狐の物語』からのオーケストラ用組曲は、ヴァーツラフ・ターリヒのアレンジにヴァーツラフ・スメターチェクが手を入れたもののようだ。

ヤナーチェクの音楽には前置きがなく、強引とも思われる、いきなり核心に迫ってくる凄みがあり、ここでのノイマンの指揮にも単刀直入の大胆さと確信に満ちた力強さが感じられる。

勿論モラヴィアの深い森の中での大自然の神秘な営みを髣髴とさせる情景描写も巧みだが、むしろあれこれ小技を使って音楽を脆弱にしないストレートな表現と、それを支えるチェコ・フィルの弦の瑞々しさや管打楽器の機動力は、この物語のテーマでもある宿命的な死と再生の繰り返しを感知させていて秀逸だ。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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