2015年09月04日

クーベリック&ケルン放送響のコンサート・ライヴ


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ラファエル・クーベリックが1960年から63年にかけてケルン・フンクハウスでケルン放送交響楽団を振ったコンサート・ライヴからオルフェオ・レーベルが3枚のCDにまとめたもので、総てモノラルだが録音レベルが高く、ホールでのオーケストラの音響の広がりも良好だ。

マスター・テープの保存状態も良くノイズが殆んどなく、また客席からの雑音や拍手も全く入っていない。

放送用音源として制作されたようだが、モノラルでのライヴ録音としては理想的と言えるだろう。

ドイツ放送協会のアーカイヴにはコンサート・ライヴやラジオ放送用の良質な音源が豊富に残されていて、根強いクラシック・ファン層とその厚さを感じさせるが、また埋蔵量的にも未発掘音源再発見の可能性が期待できるのも事実だ。

オーケストラは全曲ともケルン放送交響楽団で、ヨーロッパを代表するいわゆる名門オーケストラではないにしても、クーベリック自身やギュンター・ヴァントなどの客演指揮者によって鍛えられた、良い意味で職人的な融通性と機動力を備えた楽団だ。

第1曲目のシューマンのチェロ協奏曲イ短調でもやはり音質の良さに先ず驚かされるが、シュタルケルの緊張感に満ちた輝かしく鮮烈なソロを更に引き立てるクーベリックの力強く颯爽とした指揮がシューマンの若々しい曲想を見事に再現している。

数あるチェロ協奏曲の中ではかなり屈折した性格を持っていて、表現方法も名技主義に頼るだけでは済まされない曲だが、彼らの演奏はこの作品の真価を示したサンプルと言えるのではないだろうか。

それに続くハイドンの2曲の交響曲はCD3のメンデルスゾーンの交響曲第5番と並んでクーベリックの他の録音では聴けない珍しいレパートリーで、ハイドンの聴き古された名曲から楽器間のバランスとダイナミズムを工夫して積極的に新鮮な響きを引き出し、生命力に溢れた音楽を再構築している。

CD2のメンデルスゾーンの序曲『フィンガルの洞窟』は音画的な情景描写よりもむしろ曲中でのテーマの劇的な対比の美しさを示したクーベリックらしい表現だ。

一方クラウディオ・アラウをソロに迎えたシューマンのピアノ協奏曲イ短調は、この曲集の中ではやや異なった趣を持っている。

アラウの表現にはいくらか大時代的なロマンティシズムの片鱗が残っていて、必ずしもクーベリックの音楽作りとは一致していないが、ここで彼は円熟期の巨匠のスケールの大きなピアニズムに敬意を払って忠実に支える側に回っていると言えるだろう。

交響曲第3番変ホ長調『ライン』でも彼の解釈はおよそ標題音楽という枠に囚われない、音楽的なオリジナリティーが横溢している。

第4楽章の金管楽器の荘重なコラールから第5楽章への堰を切って溢れ出るような曲想の再現と開放感が爽快だ。

このセットでは唯一クーベリックの故郷チェコの作品になるのがドヴォルザークのピアノ協奏曲ト短調で、作曲者の原典版はオーケストラの充実振りに比較して、協奏曲としてはピアノが意外に素朴でソロが大活躍する華麗な作品とは言えないが、ここでフィルクスニーが弾いているピアノ・パートは、よりヴィルトゥオーソに装飾されたクルツ版にフィルクスニー自身が手を入れた折衷版のようだ。

そのことへの賛否はともかくとして、2人のチェコ人がオリジナルとは一味違ったスペクタクルな雰囲気を創造しているのが聴きどころだ。

最後のメンデルスゾーンの交響曲第5番ニ短調『宗教改革』は、第3楽章の瑞々しい美しさと対照的に終楽章のフーガからコラールの主題が戻るコーダへの情熱的でパワフルな盛り上げがひときわ華やかな効果を上げている。

クーベリックとしては稀な演奏だが、このコンサートが催された10月はドイツのルター派教区ではリフォーメーションの祝日を控えているので、それに因んでの選曲と思われる。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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