2015年09月07日

マゼール&ベルリン・フィルのラフマニノフ:交響曲第2番、ヴォカリーズ


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クラシック音楽史上最高の黄金コンビとも謳われたカラヤン&ベルリン・フィルも、1982年のザビーネ・マイヤー事件を契機として、修復不可能にまでその関係が悪化した。

加えて、カラヤンの健康状態も悪化の一途を辿ったことから、1980年代半ばには、公然とポストカラヤンについて論じられるようになった。

カラヤンは、ベルリン・フィルを事実上見限り、活動の軸足をウィーン・フィルに徐々に移していったことから、ベルリン・フィルとしてもカラヤンに対する敵対意識、そしてカラヤンなしでもこれだけの演奏が出来るのだということをカラヤン、そして多くの聴衆に見せつけてやろうという意識が芽生えていたとも言えるところである。

したがって、1982年のザビーネ・マイヤー事件以降からカラヤンの没後までのベルリン・フィルの演奏は、とりわけポストカラヤンの候補とも目された指揮者の下での演奏は、途轍もない名演を成し遂げることが多かった。

そのような演奏の1つが、本盤に収められたマゼール&ベルリン・フィルによるラフマニノフの交響曲第2番(1982年)である。

マゼールは、先輩格のジュリーニやライバルのアバド、ムーティ、ハイティンク、小澤などと同様にポストカラヤンの候補と目された指揮者の1人であり、そうしたマゼールとベルリン・フィルがこの時期に録音した演奏がそもそも悪かろうはずがない。

もちろんマゼールは独特の感覚と表現で鬼才と称された才能豊かな指揮者ではあったが、当時の実力を遥かに超える途轍もない名演に仕上がっていると高く評価したい。

仮にマゼールが、本人の希望どおりベルリン・フィルの芸術監督に就任していれば、ベルリン・フィルとの間で歴史的な名盤を数多く作り上げた可能性も十分にあったと言える。

しかしながら、運命はマゼールに味方をしなかった。

芸術監督の選に漏れたマゼールは、衝撃のあまりベルリン・フィルとの決別を決意、ドイツ国内での指揮さえも当初は拒否したが、その後数年でバイエルン放送交響楽団の音楽監督に就任、指揮者人生最大の挫折を克服した後、1999年になって漸くベルリン・フィルの指揮台にも復帰した。

いずれにしても、このコンビによるブルックナーの交響曲第7番のスタジオ録音(1987年)、アバドとのヤナーチェクのシンフォニエッタのスタジオ録音(1987年)、ムーティとのブルックナーの交響曲第4番のスタジオ録音(1986年)、小澤とのチャイコフスキーの交響曲第4番(1988年)など、当時のベルリン・フィルの演奏は殆ど神業的であったとさえ言えるところだ。

それはさておき、本演奏は素晴らしく個性的であると同時に、ラフマニノフにしか書けなかった叙情性に富んだ旋律を、実に魅力的に表している。

晩年には円熟の指揮芸術を聴かせてくれたマゼールであるが、本演奏の当時は壮年期にあたり、生命力に満ち溢れた迫力満点の熱演を展開していたところである。

ところが、本演奏は、むしろ後年のマゼールの演奏を思わせるような懐の深さや落ち着きが感じられるところであり、あたかも円熟の巨匠指揮者が指揮を行っているような大人(たいじん)の至芸を感じさせると言えるだろう。

ベルリン・フィルの重量感溢れる渾身の演奏もそれを助長しており、演奏全体としては、同曲最高の超名演とも呼び声の高いプレヴィン&ロンドン響(1973年)にも比肩し得るほどのハイレベルの演奏に仕上がっていると言っても過言ではあるまい。

前述のブルックナーの交響曲第7番と同様に、当時のマゼールとしては突然変異的な至高の超名演と言えるところであり、その後マゼールがラフマニノフの交響曲を2度と再録音をしなかった理由が分かろうというものである。

いずれにしても、カップリングされたヴォカリーズともども、本盤の演奏は、マゼール&ベルリン・フィルのこの時だからこそ成し得た至高の超名演と高く評価したい。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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