2015年09月09日
ハイティンク&コンセルトヘボウのブラームス:ヴァイオリン協奏曲(シェリング)、二重協奏曲(シェリング&シュタルケル)
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ベルナルト・ハイティンク指揮、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団がソリストにシェリングとシュタルケルを迎えたブラームスの協奏曲集で、『ヴァイオリン協奏曲ニ長調』が1973年、『ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲イ短調』が70年の録音になる。
一般的に1970年代のシェリングは精彩を欠いた杓子定規の演奏をするようにみられているのは残念だ。
彼はブラームスに関しては3回のセッションを残していて、確かにモントゥー、ドラティ盤に比べると覇気は影を潜めているが、音楽の精緻な仕上がりと余裕のある表現、そして思索的な深みは明らかにこちらに分がある。
ここでのシェリングは一切の虚飾を捨て去ったようなシンプルだが、ある種の達観した演奏が特徴だろう。
禁欲的な音による真摯な表現であり、熾烈なまでの一途さに打たれる。
またハイティンク&コンセルトヘボウの演奏も格調高く立派なもので、ゆとりのある堂々たる進行が素晴らしい。
ここでのハイティンクの指揮の巧みさはひときわ顕著で、コンセルトヘボウを注意深く制御してブラームスのオーケストレーションの手法を充分に聴かせてくれる。
彼らの音色は鮮やかというより、むしろシックな趣を持っていて、両方の曲について言えることだが、ハイティンクのバランスと調和に長けたセンスがソロを巧妙に支えるだけでなく、充実した管弦楽のパートを持った曲としての魅力も欠いていない。
一方二重協奏曲では、何よりも2人のソリストの合わせ技が傑出していて感動的で、ヴィルトゥオーゾ臭を出さず、室内楽風のアンサンブルを生かそうとしている。
第1楽章でのシュタルケルの決して恣意的にならない、それでいて堂々たるチェロの響きがこの曲の性格を決定的にしているように思われる。
また第2楽章でのユニゾンで弾かれるメロディーは奏法の呼吸がぴったり合わないと直ぐに露呈してしまう。
そこには音楽的な直感を働かせて弾いている2人の姿が思い浮かぶ。
彼らのような大家が細心の注意を払って奏でる一糸乱れぬデュエットは、この曲の中でも最も美しい部分で、シェリングの誠実さとシュタルケルの内面的な渋さがにじみ出た演奏だ。
終楽章のテーマはややおどけた感じだが、緊張感を緩めずに次第に気分を高揚させていくハイティンクの指揮ぶりも特筆される。
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