2015年09月13日
ギレリスのプラハ・ライヴ
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エミール・ギレリスが1973年及び1978年にプラハで行ったリサイタルからのライヴ録音になり、1973年5月24日の『プラハの春音楽祭』でのプログラムはモーツァルトのピアノ・ソナタ第15番ヘ長調K.533/494とブラームスの7曲の幻想曲集Op.116で、1978年5月10日のチェコ・ラジオでの録音がブラームスの4つのバラードOp.10になる。
全曲ともライヴで客席からの咳払いや雑音が若干混入しているが、ピアノの音質が明確に捉えられているのでそれほど気にならない。
尚ブラームスの幻想曲集の演奏終了後にのみ拍手が入っている。
先ずモーツァルトのソナタでのギレリスのとびっきり気の利いたデリカシーが注目される。
決して軽快な演奏ではなく、ポリフォニックな書法の中に極めて繊細で清澄なモーツァルトが大きなスケールで再現されていて、晩年の作曲家の心境を伝えるような解釈が素晴らしい。
一方ブラームスではギレリスのピアノは一層雄渾な響きを増して、ひたひたと忍び寄るような寂寥感から深い慟哭をも感知させているのが秀逸だ。
こうした玄人受けをする高尚なプログラムで披露する音楽性とテクニックは流石ギレリスと思わせるものがある。
プラガ・ディジタルスでは従来のSACDの他にこのジェニュイン・ステレオ・ラブと銘打った新コレクション・シリーズを始めたらしく、これまでにリリースされたCDを見ると総てがチェコで制作されている。
特徴はいずれも良質のステレオ音源のリマスター盤で、レギュラー・フォーマットのCDで気軽にしかも鮮明な音響で名演奏を鑑賞できるところにある。
今のところ新録音や初出物はないようだが、ユニークな選曲やリカップリングにもチェコ・プラガのオリジナリティーが表れていて興味をそそられる。
このギレリスのリサイタル盤は当シリーズではヴァーツラフ・ノイマンのヤナーチェク、モラゲス木管五重奏団のモーツァルトに続く3枚目に当たる。
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