2015年09月14日
クリュイタンス&パリ音楽院のフォーレ:レクイエム、ドビュッシー:映像
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EMIマスター・シリーズに移行してから更にパッケージのデザインを一新しての再リリース。
1962年と63年の古いセッションだが、リマスタリングされているので音質は極めて良好だ。
フォーレの『レクイエム』については若干手薄なコーラスが気になる他は、ソリストを含めて稀に見る演奏で、名盤と呼ばれるに恥じない天上的な美しさを持っている。
フィッシャー=ディースカウの包み込むような慈愛に満ちた表現と、清楚でありながらそこはかとない艶やかさを持ったデ・ロス・アンへレスの歌唱はこの曲の録音の中でも傑出したものだろう。
そしてパリ音楽院管弦楽団から、いかにもフォーレらしい淡い光彩と穏やかな情感を引き出したクリュイタンスの力量は流石だ。
また初出時は単独のリリースだったが、このシリーズではドビュッシーの管弦楽のための『映像』が加わったことは評価できる。
こちらも歴としたステレオ録音で、意外と思えるほど音質が改善されていて鑑賞に全く不都合はない。
ここに収録された5曲のドビュッシーは彼の数少ない録音で、以前日本盤でリリースされた時には、1枚のCDにこの『映像』と舞踏詩『遊戯』がカップリングされていた。
後者は現在ラヴェルの『ダフニスとクロエ』の余白に入った外盤が入手可能だ。
言い尽くされたことだが、クリュイタンスのフランスものには格別の味わいがある。
元来パリ音楽院管弦楽団は団員の個性が強く、オーケストラのソロ・パートの巧みさや味のある演奏にかけては人後に落ちなかったが、さほどバランスのとれた統率感の感じられる楽団ではなかった。
しかしクリュイタンスの指揮の下では、実に良くまとまった暖色系の美しい音色を自在に発揮している。
絵画に例えるなら油彩の強烈さと水彩の微妙な色彩変化をも敏感に描き出す実力を持ち合わせていた。
それだけにメンバーのクリュイタンスに寄せる信頼と敬意は大きかったに違いない。
現在ではオーケストラの国際化の影響で、抜きん出た特徴を持つ楽団は次第に姿を消しつつあるが、パリ音楽院はその最たる例で、彼らの解散は後のグローバル化の象徴になってしまった感がある。
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