2015年09月16日
スークのヴィオラ演奏集
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ヴィオラの名手としても知られ、この楽器の為の多くの作品を録音しているヨセフ・スークのヴィオラ演奏集で、ショスタコーヴィチのヴィオラ・ソナタの伴奏はヤン・パネンカだが録音データ不明と記されている。
ベルリオーズの方はディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウ指揮によるチェコ・フィルハーモニーとの珍しい協演で1976年のデジタル録音だが、どちらも音質は極めて良好。
このCDも1989年のリリース以降製造中止になっていたものの廉価盤としての復活になる。
ショスタコーヴィチのヴィオラ・ソナタは彼の死の直前に書かれた作品であるために、どうしてもその解釈には死の影を暗示させる陰鬱な表現になりがちだが、スークはことさらそうしたおぞましさを強調せずに、むしろ暖かみを持ったヴィオラの明るい音色を使った芯の太い朗々とした表現が特徴的だ。
死に対する恐怖よりも、厳粛で甘美な憧憬が優っていると言ったほうが良いかも知れない。
ベルリオーズの『イタリアのハロルド』においてもスークは官能的とも言える表現をしている。
そこには彼がヴァイオリンを弾く時と同様の薫り立つような音色とカンタービレが縦横に活かされていて、こうした表現では彼が独壇場の力量を発揮することになる。
それはこの曲の文学的なストーリーを忠実に辿った演奏ではないかも知れないが、極めて純粋な音楽的解釈だ。
ここではまたフィッシャー=ディースカウが指揮者としての優れた手腕を披露している。
ベルリオーズの華麗なオーケストレーションを精緻に再現し、チェコ・フィル特有の弦の瑞々しさ、管の機動力を引き出してみせた彼の貴重な記録でもある。
ちなみにこの作品はベルリオーズがバイロンの長編詩『チャイルド・ハロルドの巡礼』にインスピレーションを得たものだが、原作との関連性は稀薄で、作曲家自身のイタリアでの体験をベースにした創作といった感が強い。
それは彼の『幻想交響曲』と良く似ていて結果的には、彼が最も力を注いで取り組んだ標題音楽の代表作のひとつになった。
パガニーニ発注説の真偽はともかくとして、ヴィオラ奏者の最も重要なレパートリーであることは間違いない。
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