2015年09月16日
アーノンクールのバッハ:ヨハネ受難曲[DVD]
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アーノンクールがレオンハルトと共にピリオド楽器によるバッハの受難曲やカンタータを集中的に録音していた当時の貴重な映像のひとつで、彼特有の鋭利な解釈がバッハの『ヨハネ受難曲』の特徴を浮き彫りにしている。
それは演奏形態も大規模で壮麗な『マタイ』の抒情性に比較してより劇的なエレメントが集約されていることだろう。
福音史家のレチタティーヴォにも細かな音形がしばしば現れ、その感情の高揚をつぶさに伝えている。
アーノンクールのテンポもやや速めの設定で全体を114分でまとめているが、場合によっては間髪を入れずひとつの曲から次の曲に移るという手法が取られていて、それだけに引き締まった緊張感が第40曲の最後のコラールまで失われることがないのは流石だ。
またコーラスの占める比重が重く、バッハがこの曲でコーラスを優位に立たせ、その表現力を自在に使いこなして物語を進めるテクニックを駆使していたことも興味深い。
ここではテルツ少年合唱団と彼らのOBに当たる男声合唱団総勢30名余りの良く統制された、しかし情熱的な歌唱が聴きどころだ。
ソリストでは福音史家のクルト・エクヴィルツの歌詞を掘り下げた明確なレチタティーヴォに強い説得力があるし、またバスのアントン・シャリンガーの温かみのある声と真摯な歌唱にも好感が持てる。
アーノンクールはソプラノとコントラルトのソロにテルツ少年合唱団のピックアップ・メンバーを採用しているが、2人のボーイ・コントラルト、クリスティアン・インムラーとパナヨティス・イコノムーはいずれも秀逸。
特にイコノムーはこの録音当時まだ14歳だった筈だが、声の陰翳の付け方から感情の表出までとても子供とは思えない高い音楽性を持っていて驚かされる。
現在ではどちらもバス・バリトン歌手としてオペラの舞台や宗教曲の演奏に活躍しているというのも当然だろうが、またこうした歌手を輩出するテルツの持つ実力にも頷ける。
リージョン・フリーで画像の質は良好だ。
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