2015年09月18日
ハイフェッツ・ラスト・リサイタル及びラスト・レコーディングを含むバジェット・ボックス
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ヤッシャ・ハイフェッツ円熟期の録音から選曲された5枚組のバジェット・ボックスで、彼の『ザ・コンプリート・アルバム・コレクション』を持っているファンは別として、肩の凝らない鑑賞に適した簡易なセットで、またヴァイオリン音楽の入門者にもお薦めしたい優れた演奏集だ。
中でも白眉は彼が71歳だった1972年にロサンジェルスのドロシー・チャンドラー・パヴィリオンで行ったチャリティー・リサイタル・ライヴ2枚で、この演奏集は今年の4月にソニー・クラシカル名盤コレクションの一組として復活しているが、当セットのCD3−4にも当日のプログラム全曲が含まれているのでコスト・パフォーマンスから言ってもこちらが優位に立っている。
更に最後の1枚に公式のセッションではハイフェッツのファイナル・レコーディングになる1970年の小品集も加わっている。
1972年のチャリティー・リサイタルをもってハイフェッツは公の演奏活動から引退したが、既にこの時期彼は重度の関節炎を患っていたらしい。
しかしその演奏はいずれもかくしゃくとして瑞々しく、また非常にエネルギッシュなのに驚かされる。
テンポの取り方も概ね速めで、フランクのソナタでは簡潔に楽想を絞り込んだ明晰な解釈が特徴だ。
ハイフェッツの音楽に難解なものはない。
それはどんなに高尚な曲であっても、彼自身が聴き手に音楽を分かり易く伝達するすべを心得ていたからだろう。
CD5のトラック1−7は1970年にパリで行った最後のセッション録音で、流麗に歌い込んだバッハの『シャコンヌ』やロマンティックな小品には彼にしか出せないような深い味わいがある。
セッションの筈だがガーシュウィンだけは何故か客席からの拍手が入っている。
CD5のトラック8には『シャコンヌ』をバックにハイフェッツがヴァイオリンの奏法や演奏について語る短いが興味深いインタビューが収録されている。
幸いこのページに日本語の詳しい演奏曲目一覧が掲載されているので参照されたい。
音質は後半の3枚の方がより鮮明だが、総てがリマスタリングされたステレオ録音で極めて良好。
尚このシリーズではライナー・ノーツが一切省略されている。
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