2015年09月19日

ポリーニのシューマン:ピアノ協奏曲(アバド)、交響的練習曲、アラベスク


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これほど明るく澄み切った音色でシューマンの精神的な葛藤や苦悩を赤裸々にした演奏も珍しい。

いずれもポリーニ全盛期1980年代の演奏で、盟友アバドとベルリン・フィルとの協演になる『ピアノ協奏曲イ短調』では、第3楽章を除いて比較的ゆったりしたテンポを設定していて、決して情熱に任せて走るような演奏でないところが如何にもこの2人らしい。

あくまでもクリアーなタッチでスコアを辿って曖昧な点を一切残さず、なおかつ名人芸を押し付けない冷徹なまでに鍛えられた奏法がシューマンの思索をピアノの音の中に純化させた、ポリーニの典型的な表現を聴くことができる。

アバドはベルリン・フィルを縦横に歌わせて、第2楽章インテルメッツォの静寂な世界から終楽章の歓喜に到達する漸進的な緊張感の高揚と、最後に訪れる開放感をカンタービレの中に描ききっている。

『交響的練習曲』では曲を追って沈潜したメランコリーや不安と期待、愛らしい抒情が交錯し、それらは終曲で英雄的なシンフォニーに変容する。

それはシューマン自身の心情の起伏を、エチュードの名を借りたそれぞれのヴァリエーションに託して告白しているかのようだ。

彼がバッハの音楽から学んだとされる対位法が曲中に頻繁に用いられ、作品を彫りの深いものにしているのも印象的だ。

ここでもポリーニの楽曲に対する読みは鋭く、個々の曲の性格描写にむやみに囚われることなく、全体の構成を踏まえた堅牢な造形美を感知させている。

この方法によって第9曲と第10曲の間に挿入された5曲の『遺作』がごく自然に統合され、少しも違和感を与えていない。

最後に置かれた『アラベスク』は飾り気のない全くの自然体で演奏されているが、そこにシューマン特有の拭いきれない憂鬱をさりげなく表出するポリーニの手腕が冴えている。

尚ライナー・ノーツは16ページで曲目解説と演奏者紹介が英、独、仏、伊語で掲載されている。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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