2015年09月19日
初演当時のショスタコーヴィチ:協奏曲集[SACD]
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このSACDに収録されたショスタコーヴィチの3曲の協奏曲は、いずれも歴史的録音の範疇に入るもので、ロストロポーヴィチ及びオイストラフはこれらの曲の初演を果たしたソリストでもあり、またピアノ協奏曲を弾き振りするバーンスタインとニューヨーク・フィルは初演の翌年に早くもアメリカでの演奏を手がけたメンバーだ。
総てオリジナル・ステレオ・ソースからのDSDリマスタリングによるSACD化なので、多少のヒス・ノイズは致し方ないが、全体的にかなり鮮明な音質が再現されていて、これらのセッションの生々しい雰囲気を感じることができ、高度な鑑賞にも充分堪え得るクオリティーを持っている。
3人のソリストの集中力に漲る演奏とその表現力の多様さに驚かされる1枚だ。
チェロ協奏曲第1番変ホ長調はユージン・オーマンディ指揮、フィラデルフィア管弦楽団との1959年のセッションになり、ロストロポーヴィチの張り詰めた緊張感が全曲に亘って貫かれた厳格な印象を与える演奏で、またオーマンディの鋭利な指揮も注目される。
この曲にはオブリガート・ホルンが加わるが、ホルン奏者のメイソン・ジョーンズも力強い表現でチェロに拮抗している。
ピアノ協奏曲第2番はバーンスタインの軽妙洒脱で、とびっきり粋なセンスが活かされた、彼の気性に良くマッチした曲だ。
第2楽章の、この作曲家にしては珍しくロマン派的な哀愁が作品を随分親しみ易いものにしているのも事実だろう。
録音データを見ると1961年11月となっているが、バーンスタイン、ニューヨーク・フィルのセッションは1958年で、おそらくこれはソニーからリリースされているものと同一音源であることが考えられる。
またバーンスタインのディスコグラフィーにも1961年にこの曲を録音した形跡は見当たらない。
プラガは以前にも物議を醸したレーベルなので、データの信憑性については疑問が残る。
CDの最後を飾るヴァイオリン協奏曲第1番イ短調は、神秘的である一方、ハチャトゥリァンの同協奏曲のように民族的な底力を持った曲で、それはあるいは彼からの影響かも知れない。
しかし第3楽章のパッサカリアの荘厳な風格と長いソロ・ヴァイオリンのカデンツァはショスタコーヴィチのオリジナリティーに富んだ部分で、ここではオイストラフのパワフルで鮮やかなソロが白眉だ。
両作曲家のヴァイオリン協奏曲がどちらもオイストラフに献呈されていることを思えば、当時彼が如何に信頼の厚かった演奏家であったか想像に難くない。
初演と全く同じメンバー、ムラヴィンスキー指揮、レニングラード・フィルによる1956年の演奏が堪能できるのも特徴だ。
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