2015年09月20日
バレンボイム&シカゴ響のR.シュトラウス:管楽器のための協奏曲集、他
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3曲の協奏曲を中心に収録されたリヒャルト・シュトラウスの作品集で、バレンボイムとシカゴ交響楽団の親密なコラボレーションから、この素敵なディスクが誕生した。
1曲目のホルン協奏曲第1番変ホ長調ではデイル・クレヴェンジャーのソロが作曲家の若々しい曲想を反映させて、晴れやかで勇壮な雰囲気を醸し出している。
彼のアプローチはホルンの持つ金管楽器としての力強さや輝かしい音色の効果を前面に出して、シュトラウスの音響美学を再現することにあるようだ。
クレヴェンジャーの演奏を聴いていると、当時のシカゴ交響楽団のブラス・セクションには彼のような奏者が揃っていて、シカゴ特有のサウンドを創造していたことが納得できる。
勿論細部に至るまでコントロールは行き届いていて、第2楽章では音楽性豊かで筋の通ったアンダンテを聴かせてくれるし、終楽章ロンドの盛り上げも計算されたものだ。
サポートは当時の音楽監督バレンボイム指揮、シカゴ交響楽団で1998年の録音になる。
続くクラリネットとファゴットのための二重小協奏曲ヘ長調は、一変してオペラの間奏曲のような情緒を持った曲で、ラリー・コムズのクラリネットとデイヴィッド・マクギルのファゴットの息の合った巧みな絡みやユニゾンが対話を交すような美しいデュエットに仕上げられている。
またオーボエ協奏曲ニ長調では第1楽章アレグロ・モデラートをごく緩やかなテンポに抑えて、アレックス・クラインの爽やかなオーボエを堪能させてくれる。
それらの洗練されたリリシズムはバレンボイムの感性によるものだろう。
優れたオーケストラはあらゆる協奏曲のソリスト総てを自分達のメンバーから出すことができるものだが、この協奏曲集を録音した4人全員がやはりシカゴの首席奏者を務めた実力者達だ。
クライン、クレヴェンジャー、コムズ、マクギールの4人は世界最高の技術を誇るシカゴ交響楽団で、それぞれの楽器パートの首席を務める名手達であった。
残念ながら4人とも既にシカゴ響からは退団しているが、こうしたベテラン名物奏者の全盛期のソロを同じシカゴ響のバックで聴けるのは幸いだ。
クレヴェンジャーはこのCDで、もう1曲ホルンとピアノのためのアンダンテをバレンボイムのピアノ伴奏で入れている。
彼のホルンはヴィブラートを掛けない直線的なトーンでの奏法が基本で、甘美ではないが曲想をシャープに引き締めた隙のない密度の濃い表現を堪能させてくれる。
尚最後の2曲はバレンボイム自身がソロを弾く『四つの抒情的な風景』から「寂しい泉のほとりで」及び「夢」で締めくくっている。
どちらも短い作品だが、彼のロマンティシズムが良く示された魅力的なエピローグだ。
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