2015年09月28日

ミルシテインのヴァイオリン協奏曲集[SACD]


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1曲目のゴールトマルクの『ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調』は、ミルシテインの洗練を極めたヴァイオリンの音色とそのテクニックが驚異的で、この曲の真価を正統的に示した名演と言えるだろう。

ハンガリーの作曲家、カロリー・ゴールトマルクのこの作品は、作曲年代からすれば後期ロマン派の範疇に属しているが、ミルシテインは艶やかで透明な音色をフルに活かしながらも、恣意的な表現や感傷を斥け潔癖とも言える解釈で作品の構造と本来のロマン性を明らかにしている。

この時代において早くも耽美的な演奏から脱却し、よりモダンなヴァイオリン奏法を実践したヴァイオリニストとしてのミルシテインの存在は鮮烈な印象を与えている。

全曲を通じて非常に完成度の高いセッションだが、とりわけ終楽章のポロネーズのリズムに乗った天翔るような自由闊達さとカデンツァの覇気に満ちた推進力は格別だ。

ハリー・ブレック指揮するフィルハーモニア管弦楽団との協演で、筆者が過去に聴いたこの曲の録音の中でも傑出した演奏だと断言できる。

2曲目のブラームスでも切れ味の良いソロが冴え渡っているが、第1楽章のカデンツァはミルシテイン自身の手になるもので、通常多くのヴァイオリニストが弾くヨアヒムやクライスラー版とはまた趣きを異にしたオリジナリティーを感じさせる。

第2楽章のカンタービレでも曲想の流れに任せる古いロマンティシズムの表現とは常に一線を画した、高踏的なスタイルをミルシテインが既に確立していたことが理解できる。

終楽章では歓喜する輝かしいヴァイオリンの動きにぴったり寄り添うフィストゥラーリ指揮によるフィルハーモニア管弦楽団のドラマティックに盛り上がるサポートも聴きどころだ。

ゴールトマルクが1957年、ブラームスが1960年のロンドンにおけるセッション録音で、どちらもエンジェルのオープン・リール・ステレオ・テープからのDSDリマスタリングと記載されている。

オリジナル・マスターの保存状態も良く、SACD化の効果も明瞭に出ている成功例のひとつだ。

尚最後に置かれたバッハの『無伴奏パルティータ第2番』からの「シャコンヌ」は全曲演奏ではなく何故か6分52秒で終わっている。

ライナー・ノーツには1956年8月6日のザルツブルク・ライヴからのプライベートなモノラル音源と表記されているが、不思議にもライヴ特有のノイズは全くない。

この演奏も透徹したミルシテインの緊張感とその音質が素晴らしいだけに中途半端な編集が惜しまれる。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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