2015年10月11日

フランソワのドビュッシー:ピアノ作品集


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1961年から1970年にかけてサンソン・フランソワが集積したEMIへのドビュッシーの作品のセッション録音を3枚のCDにまとめたボックス・セットで、音源が多少古いので音質は時代相応と考えていたが、意外にも良好で耳障りになるような大きな破綻もなく鑑賞には全く差し障りがない。

フランスEMIからのリリースでボックスの裏に24bitリマスタリングの表示がある。

ライナー・ノーツは8ページで曲目データと演奏者についてのフランス語の解説付。

フランソワの最も得意としたフランスものの中でもドビュッシーは個性的な解釈を示した成功例で、良い意味で非常に面白みのある演奏だ。

フランソワのピアノはかなり即興的で曲によっては気まぐれにさえ感じられることがしばしばある。

しかし一度聴き手の方から彼の洗練された感性に波長を合わせることができれば、その天衣無縫に飛翔するファンタジーがただならない響きの世界と音楽観を体験させてくれる。

フランソワには形式感に束縛される音楽より、自由な空想を羽ばたかせるスペースを与えられた曲目の方が相応しい。

しかしフランソワの直感的な曲の把握が単なる我儘や気取りに終わらないのは、彼の閃きがカリスマ的な魅力に溢れているからで、ドビュッシーの作品に内在する高度に音楽的な可能性を限りなく引き出していく能力は流石だ。

『前奏曲集』ではフランソワの千変万化の表現が縦横に発揮されている。

ドビュッシーのピアノ曲の中でもこうした連作物は1曲1曲に充分なモチベーションを与えないと、惰性的な音楽の連続に聞こえてしまい、つかみどころのない音の連なりに飽きてしまいがちだが、例えば筆者が子供の頃に聴いた第1巻第2曲の『帆』で、風に翻る帆のイメージが今でも頭から離れないのは彼の演奏の影響だ。

また『ピアノのために』では霊感に支えられた軽妙洒脱で切れ味のよいテクニックがピアニスティックな魅力を愉しませてくれる。

中でも『喜びの島』は個人的に好んで聴く曲のひとつで、ホロヴィッツの鋭利に研ぎ澄まされたピアニズムで彫琢された、そそり立つような表現とは対照的に、フランソワのそれはあたかも西風に吹かれて出航する船に乗り込んだ人々の高まる期待のように感じられ、クライマックスで発散する光輝に満たされた高揚感は格別だ。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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