2015年10月14日
クラウディオ・アバド・ザ・デッカ・イヤーズ
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クラウディオ・アバド・ザ・デッカ・イヤーズと題された7枚組CDのボックス・セットは、彼がミラノ・スカラ座に就任するまでの1960年代後半に行ったデッカへのセッション録音をまとめている。
アバドは今年80歳を迎えたが、惜しまれつつ亡くなり、その晩年には巨匠風の凄みのある演奏を聴かせてきたが、彼がキャリアを開始した時代はトスカニーニ、カンテッリの後、フリーだったカルロ・マリア=ジュリーニを除けばオペラや声楽曲だけでなく純粋な管弦楽をレパートリーにするイタリア人指揮者が暫し絶えていた。
しかし彼の登場以来ムーティ、シノーポリ、シャイーらが次々と欧米の主要ポストに就いていくことを考えると、結果的とは言えイタリア人指揮者の突破口を開いた貢献者でもある。
この時代のアバドは文字通りフレッシュな演奏をしている。
このセットに収められた曲目はドイツ系が大半を占めているが、ドイツ的な荘重さを一度解体して新鮮な風を吹き込むような爽やかさと、イタリア式カンタービレを縦横に取り入れながらも形式を崩さない独自のスタイルを示している。
その好例が7曲の交響曲で、例えばウィーン・フィルを振ったブルックナーでは構築性はそれほど感じられないが、四肢を伸ばすようなオーケストラの柔軟性と瑞々しい開放感がある。
またアバド唯一のセッションになるブラームスの『リナルド』ではテノールのジェームズ・キングを起用して、決して息苦しくならない、むしろ明るい希望を予感させるオペラティックな表現に特徴がある。
アバドはまた早くから20世紀の音楽のレパートリーを開拓していた。
そのサンプルがCD5及び6のヤナーチェク、ヒンデミット、プロコフィエフの作品集で、いずれも鮮烈でしかも誠実な演奏だ。
最後はヴェルディのアリア集とコーラス・シーンを振ったもので、ニコライ・ギャウロフとの協演になる。
これはイタリア・オペラの流儀に則ったアバド面目躍如の1枚でもある。
総てが良質のステレオ録音でライナー・ノーツは43ページあり、英、仏、独語による簡易なアバドと収録曲についての解説及び声楽曲の全歌詞英語対訳付。
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