2015年11月05日
ウェンツ&ムジカ・アド・レーヌムのヘンデル:フルート・ソナタ集
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ジェド・ウェンツとオランダのピリオド・アンサンブル、ムジカ・アド・レーヌムによるヘンデルのフルート・ソナタ集で、厳格な理論と奏法に裏付けられたそれまでのオランダの古楽から開放された、より感覚的でスピード感溢れるモダンな解釈が聴きどころだ。
ウェンツ自身はクイケン門下なので、トラヴェルソ奏者としては正統的な奏法を身につけているが、テンポの設定や自由闊達なフレージングは古楽の常識から言えば逸脱しているかも知れない。
しかしそこから生まれる快活なバロックの魅力は捨てがたいものがある。
彼らのテンポは概して速めで、時によっては疾風のように駆け抜けて恐るべきテクニックも披露している。
これはウェンツが最初に録音したバッハやロカテッリのソナタ集ではいくらか度が過ぎているようにも思えるが、バロック的なヴィルトゥオジティという意味では大いに愉しませてくれる。
ヘンデルがソロ楽器としてトラヴェルソを指定しているソナタは数えるほどしかなく、この曲集でも多くはブロックフレーテ、つまり縦笛で演奏されるが、楽器の選択は習慣的に演奏者に任されていた時代なのでトラヴェルソを使ったひとつのサンプルとしても興味深い。
ウェンツの音楽性を改めて感じさせるのはホ短調ソナタで、終楽章での通奏低音にバロック・ギターを取り入れたメヌエットが極めて美しい。
ごく単純なフレーズの繰り返しの中に、彼らはリズムを強調して情熱的なスペイン風の情緒を醸し出している。
そこにはもはやメヌエットの上品さは消え失せているが、聴く者に強く訴える深い音楽性が存在している。
ウェンツの使用楽器はイタリアの楽器製作者パランカのワン・キー・タイプでピッチはa’=415Hz。
トラヴェルソの材質は、立ち上がりが素速く輪郭のはっきりしたつややかな音色と、写真から判断すると黒檀かグレナディッラで音量も豊かでフラット系の調にも強い特長を持っている。
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