2015年11月07日

スウィトナー生誕80年記念ボックス


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オトマール・スウィトナーは戦後長期間に亘って旧東ドイツで演奏活動をしていたが、1970年代にNHK交響楽団から招聘されて以来彼の芸術に惚れ込んだ熱心な日本人ファンも少なくない筈だ。

奇しくも西側に拠点を置いた一歳年下のサヴァリッシュ同様、日本の聴衆を啓蒙し音楽的視野を広げてくれた功績は忘れられない。

スウィトナーはインスブルック出身でクレメンス・クラウスに師事したウィーン気質を身に付けた音楽家だったことが彼の創り上げる音楽にも良く表れている。

ここで指揮しているオーケストラは彼が音楽監督を務めたドレスデン及びベルリンの両シュターツカペレで、このセッションが行われた当時は、どちらもまだ伝統的なドイツ特有の質実剛健で厳格に統率された奏法を残していたが、スウィトナーはむしろそうした硬質な部分を巧妙に中和して、音楽的にもまた音響的にもよりカラフルで垢抜けたセンスを感じさせる独自の美学を反映させている。

決して堅物という印象はなくむしろ融通の利く、柔軟な人柄だったことが想像されるが、例えばウェーバーの序曲集では華麗な音響の中にオペラの舞台を彷彿とさせるような奥行きにその自在さが感じられる。

それはスウィトナーの豊富なオペラ上演によって培われた手腕だろう。

交響曲ではお国ものブルックナー第5番の明晰かつスケールの大きい劇的な解釈が冴えているし、スウィトナーの本業といえるオペラのジャンルからもフンパーディンクの『ヘンゼルとグレーテル』抜粋とR.シュトラウスの『サロメ』全曲の他に、ソプラノのシルヴィア・ゲスティとのモーツァルトの演奏会用コロラトゥーラ・アリア集の目の醒めるような1枚が加わって、スウィトナーの歌物に対する強みを発揮しているが、また一方で20世紀の音楽を充実させているのも注目される。

例えばヒンデミットの『交響的変容』やマックス・レーガー作品集ではオーケストレーションの綾を克明に描き出しながらスペクタクルな臨場感を与え、更にR.シュトラウスで表現する艶やかな官能美も聴きどころのひとつだろう。

ボックスには上記のふたつのオーケストラの他にライプツィヒ放送交響楽団、ゲヴァントハウス管弦楽団、ベルリン放送交響楽団の名称が印刷されているが、それぞれのジャケットにはCD1、3ー5、8の5枚がシュターツカペレ・ベルリン、他の6枚は総てシュターツカペレ・ドレスデンの演奏と表示されている。

音質はいずれも極めて良好で、6ページほどのパンフレットにはスウィトナー80歳を記念した簡易なコメントが独、英語で掲載されている。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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