2015年11月23日

クーベリックのマーラー:嘆きの歌、ブラームス:アルト・ラプソディー、シェーンベルク:グレの歌より[SACD]


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プラガ・ディジタルスのSACDシリーズでは初のクーベリック演奏集で、いずれも手兵バイエルン放送交響楽団及び合唱団を指揮したライヴ録音になる。

ブラームスとマーラーに関しては初めてCD化された音源のようだ。

手始めに3曲の中では最も古い1962年のブラームスを聴いてみたが、モノラル録音ながらラジオ放送用に制作されただけあって無理のない柔らかな音質で再現されていて概ね良好だ。

緊張感が漲るクーベリックの指揮でアルト・ソロを歌うヘルタ・テッパーの伸びのある豊かな声が、キャスリーン・フェリアーの寂寥感や謹厳さとは対照的に人間のさがを肯定するようなロマンティックな表現を可能にしている。

特に後半の男声コーラスが加わる祈りの部分からは仄かな希望を感知させる温もりが秀逸で、ここにもゲーテの詩とブラームスの音楽に対するクーベリックの周到な読みと解釈が示されている。

マーラーの『嘆きの歌』は1979年のステレオ録音になり、ややテープ・ヒスが聞こえるが音場に奥行きがあり、音質やバランスの良さもDSDリマスタリングの効果と思われる。

クーベリックは作品のメルヘンチックな情景描写も巧みに描き出しながら、後半部ではシンフォニックなクライマックスを築いている。

ソプラノのユリア・ハマリも物語に沿ったドラマ性を歌い切った好演だ。

この曲はテキストもマーラー自身が手掛け、ソロ及びコーラスに大編成のオーケストラと舞台裏のバンドが加わる作曲家ごく初期の野心作で、やがて『さすらう若人の歌』や『亡き子を偲ぶ歌』あるいは『大地の歌』などの声楽付交響曲群に収斂していく楽想と管弦楽法の萌芽が見られる習作的な作品でもある。

マーラーは数回に亘って改訂を続け、最終稿では思い切って第1部をカットして2部作の形にシェイプアップした。

クーベリックも1899年のウィーン版を演奏しているが、それでも演奏時間36分の大作になる。

このカンタータでは弟を殺害して花嫁を我がものにする兄の策謀が語られる「森の伝説」は省かれていて、辻音楽師が知る由もなく弟の骨から作った笛を吹いて兄の結婚式に呼ばれる「辻音楽師」と「婚礼譚」によって構成されている。

最後のシェーンベルクの『グレの歌』は1965年のライヴで、この音源はドイツ・グラモフォンからリリースされて既に久しい。

選択肢がそれほど多くない曲なのでSACD化で全曲を聴いてみたかったが、ここでは5曲のみの抜粋で、おそらく余白を埋めるために入れたのだろうが、シェーンベルクがマーラーから大きな影響を受けていた時期の作品なので比較鑑賞の便宜を図った企画としては悪くない。

ライナー・ノーツには『アルト・ラプソディー』のみ英語対訳付で、他の2曲に関してはドイツ語の歌詞のみが掲載されている。

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classicalmusic at 19:56コメント(0)クーベリック | フェリアー 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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