2015年11月28日

ルガンスキーのシューベルト・アルバム


この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。



ニコライ・ルガンスキー初のシューベルト・アルバムになり、しかも作曲家最晩年の作品を採り上げているところに近年の彼の音楽的な充実ぶりが示されている。

そこにはデビュー当時からのルガンスキーのピアニズムの特徴でもある正確無比で華麗な奏法が健在だが、更に豊かなファンタジーや明暗の表出が加わって彼の表現力を一層深みのあるものにしている。

ピアノ・ソナタ第19番ハ短調はその後に続く2曲のソナタと並んで、まさにシューベルトの人生の終焉をイメージさせる、追い詰められた焦燥や諦観、そこはかとない幸福感とが交錯している。

このソナタは図らずもこうした複雑な音楽性と集中力を削ぐような長大な規模を持っているために、しっかりした音楽設計と同時に魅力を引き出して聴かせるアイデアが要求されるが、ルガンスキーの演奏はそうした課題に対してテクニックで逃げ道を探すのではなく感性で対峙している。

緩徐部分ではオーケストラを髣髴とさせる微妙なタッチの使い分けによる色彩感とスケールの大きさを、終楽章「タランテラ」では華やかさの中にも速度に抑制を効かせて晩年の作曲家の心境に寄り添った解釈を示している。

4曲の即興曲は全曲続けて演奏するとさながらピアノ・ソナタのようだし、ルガンスキー自身もそれを意識していると思える。

そう感じたのは、このCDのリリースを控えた10月27日にウィーン・コンツェルトハウスのモーツァルト・ザールで彼のリサイタルを聴いた時だった。

その晩はコンサートの前半の締めくくりにこの4曲を演奏したが、それぞれの曲の対照的な性格を弾き分けながら強い統一感を引き出して、あたかも1曲のソナタのように聴かせていた。

こうした音楽構想と演奏上のオーガナイズにも彼の実力が表れている。

これは余談になるが、このコンサートのプログラムはフランク、シューベルト、ラフマニノフとチャイコフスキーだったが、ウィーンの聴衆がすっかり満足して惜しみない喝采を贈った返礼として、ルガンスキー自身も乗り気になってその後に4曲のアンコールを弾いて更に会場を沸かせ、彼のエンターテイナーとしての柔軟な姿勢も見せていたのが印象的だった。

ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング



フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室



classicalmusic at 19:02コメント(0)トラックバック(0)シューベルト  

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
メルマガ登録・解除
 

Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

Categories
Archives
Recent Comments
記事検索
  • ライブドアブログ