2015年12月01日
クレヴェンジャーのハイドン:ホルン協奏曲集
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シカゴ交響楽団の首席ホルン奏者だったデイル・クレヴェンジャーは1980年代にフランツ・リスト室内管弦楽団と一連のホルン協奏曲集を録音した。
その1枚がこのフランツ・ヨーゼフ・ハイドンの第1番ニ長調及び第2番ニ長調と彼の弟ミヒャエル・ハイドンのホルンと管弦楽のための小協奏曲ニ長調の3曲を収録したもので、総てヤーノシュ・ローラが指揮している。
同じメンバーがハンガリーのヴァーチで録音したモーツァルトの協奏曲集と並んで、クレヴェンジャーがソロを演奏したそれほど多くないセッション録音のひとつで、このCDはアペックス・レーベルからも廉価盤でリイシューされているが、リーフレットに録音場所はウィーンと書かれている。
録音は1983年6月なので、クレヴェンジャー43歳の壮年期の安定した力強いソロが堪能できる。
筆者はホルンの奏法については全く無知な人間だが、クレヴェンジャーの演奏を聴いていると、小技に拘泥しないごくオーソドックスで正攻法の表現が特徴的で、こうした基本に忠実な奏法がかえって技巧的な難解さを強調することなく、むしろ曲の構造をより堅固にしていることが理解できる。
3曲とも決して易しい曲ではない筈だが、クレヴェンジャーの王道的な解釈がシンプルに伝わって来る堂々とした演奏だ。
しかしその上でかなり自由闊達なカデンツァを挿入して、鮮やかなホルンのテクニックを披露することも忘れていない。
またヴィブラートを掛けない直線的なトーンも彼の基本奏法のようだが、それは伝統的に狩猟で使われたホルンという楽器の持つ特性を踏襲しているとも言えるだろう。
ハイドンの2曲はホーボーケンのジャンル別分類では第3番及び第4番として知られていて、このCDでもそう書かれている。
ただしハイドンの作曲したホルン協奏曲は2曲のみなので第1番、第2番と呼ぶ方が分かり易い。
因みに第2番は偽作の疑いがあるようだ。
一方ミヒャエル・ハイドン(1737-1806)はフランツ・ヨーゼフの弟で、モーツァルトがヒエロニムス大司教から解雇された後のザルツブルクの宮廷オルガニストを勤めた作曲家である。
交響曲や弦楽四重奏曲を中心にかなりの作品を書いているにも拘らず、現在演奏される曲はごく限られているし、また取り上げられる機会も稀だが、そのひとつがこのホルンのための小協奏曲で、終楽章メヌエットとそのヴァリエーションで飾る、平易だが魅力的な曲趣を持っている。
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