2016年03月28日
左手のためのピアノ曲集第2集/オタカー・ホルマン編
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プラガ・ディジタルスの新シリーズ、ジェニュイン・ステレオ・ラブからの左手のためのピアノ曲集第2集になり、第1集のヴィトゲンシュタインに続いてチェコのピアニスト、オタカー・ホルマン(1894-1967)に因んだ作品を中心に4曲が収録されている。
日頃コンサートやメディアを通して鑑賞する機会の少ない曲種を集めた面白い企画に興味をそそられて買った1枚。
ヴィトゲンシュタイン同様ホルマンも第一次世界大戦で右手の機能を失い、左手のみでコンサート活動を続けたピアニストの1人だ。
彼のために作曲されたのがヤナーチェクの『カプリッチョ』及びマルティヌーの小協奏曲で、前者はフルート、トランペット2、トロンボーン3、チューバのブラス・アンサンブルにピアノの左手がソロとして加わるユニークな楽器編成を持っている。
ヤナーチェク特有の発話旋律が使われた、泥臭さはあるが語りかけるような生き生きしたリズム感とピアノ・パートが超然として斬新な音響を創造している。
一方マルティヌーのそれは『ディヴェルティメント』の副題が示すようにいくらか取り留めのない嬉遊性を感じさせる3楽章の協奏曲に仕上げられた曲だ。
他の2曲はブラームスの『左手のためのシャコンヌニ短調』とリヒャルト・シュトラウスのピアノ協奏曲『家庭交響曲からのパレルゴン』になる。
ブラームスの『シャコンヌ』は右手の故障で演奏活動を休止していたクララ・シューマンの慰みのために編曲されたと言われている。
バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番ニ短調の終曲『シャコンヌ』の骨格と和声を忠実にピアノの左手に移したもので、ヴァルター・クリーンの1964年のラジオ・ライヴから採られている。
クリーンは伴奏家としてもグリュミオーとの協演で知られたピアニストだがブラームスのスペシャリストでもあり、ここでは骨太で力強い彼のソロを聴くことができる。
シュトラウスの方はヴィトゲンシュタインの要請に応える形で自作の『家庭交響曲』からのモチーフを取り入れて作曲され、フリッツ・ブッシュ指揮、ヴィトゲンシュタインのソロで初演された。
単一楽章で書かれていて後半部はタティアーナ・ニコラーエワの超絶技巧を、ロジェストヴェンスキーが華麗で堂々たるオーケストラでサポートしたモスクワ・ライヴになる。
第1集に比べて曲目の知名度がそれほど高くないために音源の選択肢も少なく、それだけに貴重なアルバムだ。
録音状態は概ね良好で鑑賞に難はない。
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