2015年12月14日

ビオンディ&エウローパ・ガランテのヴィヴァルディ:和声と創意への工夫、調和の霊感


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過去2回に分けてリリースされたそれぞれ2枚組の『和声と創意への工夫』と『調和の霊感』全曲が今回合体して廉価盤ボックス・セットになった。

特に『四季』では作曲者ヴィヴァルディがインスピレーションを得た作者不詳の14行詩、ソネットがそのまま音でアニメーション化されたような奇抜な面白さがある。

それはさながらペーテル・ブリューゲルの絵画に活写された農民の生活を連想させるような、生き生きとした機知に溢れる表現だ。

ファビオ・ビオンディの構想は、凝り固まってしまった古楽の解釈からの音楽の開放であり、それまでのバロック音楽へのイメージの打破にある。

現在私達が『四季』に対して持っている明るく流麗なイメージは、多分にイ・ムジチ合奏団の貢献によるものだし、筆者自身もアーヨ盤を聴いてその洗礼を受けた1人だった。

それは感動的な名演奏だったし、素晴らしい印象を残してくれたが、まったく違った意味でビオンディとエウローパ・ガランテの革新的な世界にも惹かれる。

一流の古楽アンサンブルの数も飛躍的に増えた現在、互いにオリジナリティーを主張し、自由にその技を競い合う時代になったと言うべきだろう。

ところで『四季』の人気は相変わらず高く、モダン楽器による新しい録音にもクレーメルとクレメラータ・パルティカ、ムターとトロンヘイム・ソロイスツなどのすぐれてユニークな演奏があるが、やはり主流はピリオド楽器による演奏だろう。

ビオンディとエウローパ・ガランテは、結成間もない1991年にも録音しており、明るい響きを切れ味良く生かして歌い、描写した演奏は、この俊英団体らしい奔放な閃きにとんだ表現に満ちていて、とても新鮮で刺激的だった。

前回と同様にマンチェスター手稿によるこの演奏は、基本的な解釈や奏法に大きな違いはないので、そうした驚きは当然少ないが、この間にアンサンブルはさらに柔軟に磨かれ、ソロとトゥッティが絶妙な感覚で呼応して、いっそうしなやかに精妙な表現をつくっている。

強弱のコントラストが鮮やかで、即興性にとんだ緩急自在な表現はきわめて精妙多彩で、かつ強い表出力をそなえているし、それらがしなやかな流れと起伏の中に巧みな統一感をもって織りなされている。

ソロだけでなくアンサンブルの細部における表現も、より柔軟でこまやかになっており、それがビオンディの冴えたソロをいっそう聴き映えのあるものにしている。

快速で奔放自在な変化をみせる演奏は数あるヴィヴァルディの録音の中でも最も爽やかな生命感にあふれていて、イタリアの団体らしい流麗なカンティレーナや細部の彫りの鮮やかさも特筆されよう。

ヴィヴァルディの音楽がバッハに多大な影響を与えたことは周知の事実だ。

バッハはヴィヴァルディの楽章形式をそのまま踏襲したし、ここに収められた『調和の霊感』からもヴァイオリン協奏曲ト長調RV310をソロ・チェンバロ用に、また二つのヴァイオリンの為の協奏曲イ短調RV522をオルガン用に、そして4つのヴァイオリンの為の協奏曲ロ短調RV580を4台のチェンバロの為の協奏曲に編曲している。

その当時バッハが流行の最先端を行く音楽を熱心に研究していたことは意外だが、ビオンディの演奏にはそれを納得させるようなヴィヴァルディの斬新な創意を強く感じる。

廉価盤ながら曲目及び演奏者紹介のライナー・ノートが英、仏、独語で付されている。

録音は『調和の霊感』が1997年、『和声と創意への工夫』が2000年で、どちらも音質は極めて良好。

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classicalmusic at 00:07コメント(0)トラックバック(0)ヴィヴァルディ  

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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