2015年12月26日
リヒターのバッハBOX
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このリヒターの崇高なバッハの成果は未だに独自の光彩を放ち、独創的で強い主張を持っている。
中でも彼のブランデンブルク協奏曲や管弦楽組曲などの息づくようなバイタリティーに溢れた表現は強く惹かれるものがあったが、当初アルヒーフのセット物は布張りカートン・ボックス入りのコレクション仕様で値段も高く、気軽に手が出せるような代物ではなかった。
そうした懐かしさも手伝ってかつての欲求を満たしてくれるのがこのセットで、同じくユニヴァーサル・イタリーから先発でリリースされたバッハのカンタータ集に続いて、今回はチェンバロ及びオルガン・ソロ、室内楽、オーケストラル・ワークに『ロ短調ミサ』を加えた18枚で構成されている。
この中には現在入手困難な1966年収録のシュナイダーハンとのヴァイオリン・ソナタ集も含まれている。
リヒターは1972年にレオニード・コーガンとも同曲集の再録音をオイロディスクに遺しているが、バッハへのアプローチも、また音楽的な趣味や個性も全く異なった2人のヴァイオリニストと組んだアンサンブルの記録としても貴重な音源だ。
この演奏ではシュナイダーハンのウィーン流のしなやかで自由闊達なソロが美しい。
尚ブランデンブルク協奏曲集は1967年の再録音の方が採用されている。
ちなみに第1回目の1956−57年の音源はドイツ・ヘンスラーから独自のリマスタリングで復活している。
ミュンヘン・バッハ管弦楽団は、バイエルン放送響、ミュンヘン・フィル、バイエルン国立管の団員などの精鋭から編成され、何よりも当代のバッハの使徒とでもいうべきリヒターに対する尊敬の念と忠誠心を持っていたと言われる。
その演奏の均一性、精神的な統一感はいま聴いても新鮮な驚きがあるだろう。
リヒター指揮による同管弦楽団、同合唱団による一致団結した統一感とストイックとしか言いようのない敬虔、厳格な音楽づくりは、その後同様な演奏を聴くことを至難としている。
一方、リヒターは当時にあって、バッハについて深い学識ある研究者であるとともに、最高のチェンバロ奏者&オルガニストであり指揮者であった。
チェンバロ、オルガンなどの独奏の高次性も並外れており、しかもすぐれた即興性に魅力がある。
彼が使用しているチェンバロは総てノイペルト製のモダン・チェンバロで、ピリオド楽器が主流の現在では金属的で大きな音がやや厚かましく聞こえるが、奇しくも当時のリヒターのラディカルとも言える解釈にそぐわないものでなかったことは確かだ。
またニコレとのフルート・ソナタ集では常にレジスターを使って音量と音色を注意深くコントロールしている。
ライナー・ノーツは46ページほどで、曲目一覧、英、伊、独語によるリヒターのキャリア及びこのセットに収められた18枚の全録音データが掲載されている。
新しいリマスタリングの表示はないが音質は極めて良好で、サイズ13X13X5cmのシンプルなクラムシェル・ボックス仕様。
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