2016年01月05日

マリア・カラス/スタジオ・リサイタル集


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マリア・カラスの芸術に関しては既に過去のレビューで書き尽くした感があるので、ここでは本セットの音質面について述べたい。

カラスのスタジオ・リサイタル集は2012年にEMIから同じ装丁の赤箱の13枚組でリリースされていたが、それにファースト・レコーディング1枚を加えているのが今回のセットだ。

ただし音源については、ブックレットによればこれらのCDはロンドンのアビー・ロード・スタジオのオリジナル・テープから2014年に行われた最新のディジタル・リマスタリング盤なので、事実上一昨年の秋にリリースされたカラスのコンプリート・スタジオ・レコーディングス69枚のボックス・セットからオペラ全曲盤を除いたピックアップ・バージョンということになる。

CD1の1949年のファースト・レコーディング集ではノイズがかなり聞こえるが、声自体は芯のあるしっかりした音質が蘇っている。

その後に続く3枚のモノラル録音盤も以前のCDより特にオーケストラに潤いがあり、後半のステレオ録音では歌もオーケストラもずっと精彩に富んだ音色になっている。

むしろ音源のバランスなどをいじり過ぎないナチュラルな仕上がりと言ったらいいだろうか。

この時のエンジニア、アンディー・ウォルターとアラン・ラムセイの行ったリマスタリングのポリシーは、勿論ハイ・デフィニションだが、それ以前の耳障りになるノイズ音域を極力カットして表面的に綺麗に仕上げる方法ではなく、オリジナルのマスター・テープから演奏者の表現がよりダイレクトに再現されるように考慮されている。

ここで行われた24bit/96KHzリマスターはあくまでも編集上の数値で、実際にはレギュラー・フォーマット16bit/44.1KHzへのCD化によって鮮明度は下がるが、更に一定のノイズ・カットに伴う倍音や楽音自体の喪失は気の抜けたビールのような音質を招いてしまう。

それを回避したのが今回のリマスタリングの成果だろう。

2012年に出た前述の赤箱やイコン・シリーズの7枚組と比較すると聴き取れるが、この2セットでは歌声を前面に出すことに主眼が置かれているように思われ、確かに声は良く再現されている反面、オーケストラがやや貧弱に聴こえる。

こちらでは結果的に歌声とオーケストラのバランスが良くなり、器楽の部分もより繊細に響いているのが特徴だ。

シンプルなクラムシェル・ボックス入りで、27ページほどのブックレットには収録曲目と録音データ及びカラスのキャリアがクロノロジカルに掲載されている。

熱心なマリア・カラスのファンであれば既に先に挙げた全集を持っているだろうが、これから彼女の芸術に触れてみたいという入門者には簡易なイコン・シリーズと並んでこのセットもお薦めしたい。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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