2016年01月07日

ホッター第1回目のシューベルト:歌曲集「冬の旅」


この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。



本盤はCDではなくMP3フォーマット音源であるが、以下は同音源のグラモフォン盤のCDのレビューになる。

ハンス・ホッターは生涯に5回シューベルトの歌曲集『冬の旅』全曲録音を行い、そのうち4種類がCD化されている。

その中で最も古いものがピアニスト、ミヒャエル・ラウハイゼンとのセッションで、1942年から翌43年にかけて収録されたホッター初の『冬の旅』だ。

この録音がよもやドイツ・グラモフォンの正規音源からのCD化されるとは思ってもみなかった筆者は、学生時代海賊盤CDを買い求めて聴いたが、録音状態は良好で、ホッターの声は充分満足のいく程度に捉えられているし、ピアノの音はやや後退していて歌と対等というわけにはいかないが時代相応以上の音質を保っている。

聴き比べるとやはり本正規盤で聴く方がより生々しい感じがして、角が取れたという印象を受けるが、決して悪いリマスタリングではない。

演奏の方だが、ホッターの他の演奏よりずっと恣意的なのに戸惑う。

ただでさえ遅いテンポを採っているにも拘らず、それぞれの曲中で更にテンポを落とす部分がしばしば聴かれる。

若々しいとは言え、低く重い声質の彼がこの暗い曲集をこのように歌っていることは意外だったが、後になってこうした解釈が時代的な趣味を反映していることに気付いた。

当時はまだロマン派の表現様式を引き摺っていた、言ってみれば最後の時期で、フィッシャー=ディースカウの出現あたりを機にドイツ・リートの世界では過度な表情をつけることやテンポを顧みずに思い入れたっぷりに歌う歌唱法は息の根を止められる。

だからより現代的な表現に慣れた耳にこの『冬の旅』は過去の遺物のように感じられるが、それでもホッターがこうした時代を経て、既にジェラルド・ムーアとの1954年のセッションではかなりモダンな歌唱になっているのは興味深いところだ。

ラウハイゼンの伴奏にももう少し強い主張があっても良いと思うが、録音のテクニック上の問題で歌を邪魔しないように配慮されているのかも知れない。

特にホッターのような低声の歌手を伴奏する場合には、ピアニストにも声を活かすための高度なテクニックが要求されるだろう。

いずれにしても、大歌手ホッターの原点を知る上では興味深いサンプルだ。

ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング



フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室



classicalmusic at 00:51コメント(0)トラックバック(0)シューベルト | ホッター 

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
メルマガ登録・解除
 

Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

Categories
Archives
Recent Comments
記事検索
  • ライブドアブログ