2016年01月19日

ミケランジェリ/コンプリート・ワーナー・レコーディングス


この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。



ミケランジェリの演奏集を収めたバジェット・ボックスの中では、録音状態とその音質を最優先して考慮するならドイツ・グラモフォンの8枚組が最も賢明な選択だろう。

一方圧倒的な曲数を誇っているのがメンブランからの20枚を2巻に分けたセットだ。

ただしメンブランはマスターの音質に関しては無頓着なところがあって、質の良いリマスタリングは期待できないのが現状だ。

更にEMIイコン・シリーズの4枚組も古い音源では悲惨な音質のものもあるが、ラヴェルとラフマニノフの協奏曲のように全く例外的に素晴らしい状態で残されているものもある。

今回ワーナー傘下のレーベルを集大成した14枚は、イコンの総ての収録曲を重複しているが、その他のレパートリーは初出音源も含めていずれも貴重で録音年代の古さを通り越して、ミケランジェリの芸術的ポリシーを感じさせずにはおかないものばかりだ。

中でもシューマンの『謝肉祭』は彼が機会あるごとに繰り返し録音した作品で、このセットでも1957年と1975年の2種類の演奏が収められている。

ただしCD6−8の3枚を除いて総てがモノラル録音で、入門者向けとは言えないが、ミケランジェリの演奏に惚れ込んでいるファンであれば、聴き逃せないコレクションであることに間違いない。

因みにCD5のトラック9のリハーサルはロンドンのロイヤル・フェスティヴァル・ホールで行われたものだが、この日のミケランジェリはかなり不機嫌で、ドビュッシーやシューマンで指慣らしをしながら殆んど喧嘩腰で「ここに人を入れないでくれ!」「誰も見たくない!」と言い、「機嫌はどうだい?」と尋ねられると「良くないね!」などと一蹴している状況が32分43秒に亘って録音されている。

気難し屋だった彼の一面が良く出ている興味深いトラックだ。

ミケランジェリのピアニズムは、「完璧主義」「氷のような美しさ」とよく形容されるが、彼が音楽に関して誰よりも厳しく、考えられないような言動が多くても、彼は誰よりも一番大きな犠牲を払って、この誰にも真似できない磨き抜かれたクリスタルな美音を届けてくれたような気がする。

これだけの才能とこだわりを持ちながら、自分に送られる拍手は作曲家に向けられるべきもので、自分(演奏家)が値するものではないと常々語っていたことは、同じイタリア人の大指揮者トスカニーニと通ずるものがあるように思える。

「……完璧な誠実さ。
 私の言葉でいえば、このうえなく勇敢で、もっとも尊敬すべきことをなす誠実さ。たんに行為においてのみならず、動機における誠実さ。そうした誠実さは、断固として揺るぎない、だが激烈になることはほとんどない努力をとおして得られるのであり、さらには、澄み切った(私はこの言葉を、媚びのそぶりが一切ないという意味で用いている)まなざしと、冴えわたるアイロニーによって獲得されるのである。」(ジッド)

特記以外は総てモノラル録音で15ページのライナー・ノーツには仏、英、独、伊語による彼のキャリアとエピソードが掲載されているが、曲目一覧及び録音データは各ジャケットの裏面でしか確認できない。

ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング



フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室



classicalmusic at 00:39コメント(0)トラックバック(0)ミケランジェリ  

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
メルマガ登録・解除
 

Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

Categories
Archives
Recent Comments
記事検索
  • ライブドアブログ