2016年01月29日

マルティノン&シカゴ響/コンプリート・レコーディングス


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今年2016年がジャン・マルティノン没後40周年に当たり、早くも大手メーカーから彼にちなんだCDがバジェット価格でリリースされている。

マルティノンは1964年から1968年にかけてシカゴ交響楽団の音楽監督を務め、その間にシカゴ響とはRCAにCD9枚分のセッション録音を残しているが、その後1969年に彼はカサドシュのピアノ協奏曲をフランス国立放送管弦楽団と作曲者自身のソロで録音した。

これが今回初CD化され、ボーナス盤として10枚目に加わっている。

またCD6のマルティノン作曲、交響曲第4番『至高』はシカゴ交響楽団創立75周年を記念した委嘱作品で、彼自身の指揮とシカゴの初演メンバーで鑑賞できるオリジナリティーに価値がある。

マルティノンの作風は無調だが感性に訴える色彩的でスペクタクルなオーケストレーションに特徴があり、その音響が魅力だ。

カップリングされたもう1曲はイタリア系アメリカ人の作曲家ピーター・メニンの交響曲第7番で、終楽章アレグロ・ヴィヴァーチェに象徴されるポリフォニックな書法を精緻に聴かせるマルティノンの腕が冴えている。

またスイングの王ベニー・グッドマンをソロに迎えたウェーバーの2曲のクラリネット協奏曲では、クラシックとは明らかに異なる一風変わったグッドマンの器用なアプローチが面白いが、演奏は軽快かつ臨機応変で彼のジャンルを越えた挑戦に拍手を贈りたい。

マルティノンは古典から現代の作品に至るまで常に明晰な音楽表現を心掛けていた。

ヴァレーズ、マルタン、ヒンデミットやメニンなどの新しい作品でも細部を曖昧にしない几帳面さと、伸びやかにオーケストラを歌わせる手法が統合されている。

このセットには最も世評の高かったドビュッシーこそないが、ラヴェルを始めとするフランス系作曲家のレパートリーも豊富に含まれている。

現在マルティノンのラヴェルが不当に低く評価されているのは残念である。

マルティノン自身にとってシカゴ時代は決して幸福ではなかったにも拘らず、音楽面では図らずも重要な仕事を残す結果になった。

シカゴ響はどのパートもパワフルに良く鳴っているが、天真爛漫過ぎるところがマルティノンとの相性で必ずしもベストだったとは言えないが、音源は極めて良好でオーケストラの持ち味を充分に引き出しながら、前任者フリッツ・ライナーとは全く異なった柔軟でデリケートな指揮法を伝えている。

その意味では後のフランス物への集中的な仕事が既に準備されていた時期とも言えるだろう。

マルティノンのシカゴ時代は彼自身の回想によれば苦渋に満ちたものであった。

その原因はシカゴ交響楽団の音楽監督に就任した時、楽団員達が雇用期間をめぐる就労問題を抱えていたことと、更にマルティノン自身が地元の新聞シカゴ・トリビューン紙の批評家クラウディア・キャシディーの槍玉に挙げられて執拗にこき下ろされたことにあった。

キャシディー女史の記事は批評と言うよりは、独断と偏見に満ちたヒステリックな毒舌だったが、オーケストラのマネージャーが彼女の友人でもあり、彼女の忠告を聞き入れなければコンサート自体が成り立たなかったことや、シカゴ政財界要人の夫人達を味方に付けたキャシディーが、彼女の意にそぐわない者はシカゴを去るまで攻撃の手を緩めなかったことにあった。

勿論その鉾先が向けられたのはマルティノンだけではなく、クーベリックやショルティ、作曲家ではヤナーチェクやバルトークにも及んだ。

シカゴを去ったクーベリックが彼女に持った怨恨は今や伝説的である。

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Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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