2016年01月31日
ムラヴィンスキー&レニングラード・フィルのストラヴィンスキー・アルバム[SACD]
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プラガ・ディジタルスからのムラヴィンスキー演奏集のSACD化はこのディスクで既に4枚目になる。
今回はストラヴィンスキー・アルバムで、1曲目『ペトルーシュカ』の1947年稿にも期待したが音質、演奏ともに必ずしも名盤とは言えない。
『ペトルーシュカ』の音源は1964年のレニングラード・ライヴと記載されているが、音場が遠く劇場の天井桟敷で演奏を聴いているような印象を受ける。
しかもオフ・マイクということもあって、楽器ごとの分離状態が明瞭でなくムラヴィンスキーが採用していた両翼型の弦楽部もステレオ効果に乏しい。
これも録音の技術的な問題だが、パーカッション及びブラス・セクションが突出したように聞こえバランス的にもいまひとつだ。
また演奏について言えばトランペットのソロ部分ではいくらかぎこちなさが露呈して余裕が感じられない。
ムラヴィンスキーのエネルギッシュな推進力と統率感は充分に伝わってくるが、皮肉にも結果的には演奏終了後の拍手が最も良く聞こえるといった状態だ。
はっきり言ってこれまでのムラヴィンスキー演奏集のSACDシリーズに比べて多少期待外れだった。
ムラヴィンスキー&レニングラード・フィルの本領が発揮されているのはむしろバレエ音楽『妖精のくちづけ』の方で、こちらも同様にレニングラード・ライヴだが、ライナー・ノーツによると1983年収録で確かに音質もずっと良くなっている。
ストラヴィンスキーはアンデルセンの童話『氷姫』のストーリーにチャイコフスキーの旋律を豊富に取り入れて、ロシアの先輩作曲家へのオマージュ的な流麗でロマンティックな4つのシーンのバレエに仕上げた。
ストラヴィンスキーの他のバレエ音楽に共通する原初的なパワーや前衛的な刺激が少なく、またこの40分を上回るコンプリート・バージョンに関してはバレエを観る視覚的な愉しみが省かれてしまうので、どちらかと言えばクラシックの玄人向けのレパートリーかも知れない。
しかしムラヴィンスキーの堅固な構成力とレニングラード・フィルの緊密なアンサンブルの連続する隙のない音楽にまとめられていて、第3部後半のクライマックスを創り上げている歌曲『ただ憧れを知る者だけが』のメロディーが現われる部分は物語の悲劇的な結末を象徴していて感動的だ。
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