2016年02月08日

オイストラフのプラハ・ライヴより[SACD]


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ダヴィッド・オイストラフが1966年、69年及び72年に行ったプラハ・ルドルフィヌム・ドヴォルザーク・ホールでのそれぞれのステレオ・ライヴ録音からカップリングされたリサイタル盤で、このCDでは総て20世紀の作品のプログラムが組まれているのが特徴だろう。

このうちの何曲かは以前同じくプラガからリリースされていたものだが、ライヴ特有の客席からの雑音は若干あるにしても、SACD化により音質が素晴らしく蘇っており、臨場感にも不足していない。

勿論2015年に新しくリマスタリングされているが、この時期に東欧でこれだけのライヴ録音が可能だったことに驚かされる。

演奏曲目の中でも最も注目すべきは、バルトークのヴァイオリン・ソナタ第1番、イザイの無伴奏ソナタ第3番『バラード』、そしてラヴェルのソナタト長調の3曲で、全く異なった性格のソナタを万全の表現力で弾くオイストラフの才能が縦横無尽に示されていると言っても過言ではないだろう。

バルトークのソナタでは作曲家の宇宙観を表した神秘性に支配された無調の楽想が聴く者にある種の戦慄を起こさせるが、オイストラフの演奏には鬼気迫るような厳しさの中にも人間性を感じさせる呼吸が常に息づいている。

そして第1、第2楽章の持続した緊張感が終楽章に向かって一気に解放され噴出するバルトークの構想を、彼は非凡な情熱を持って再現している。

ここでは明らかにハンガリーの舞曲に由来するリズムとメロディーを感知させる、大地の底から湧き上がるようなパワフルな表現と躍動感に漲った演奏が秀逸だ。

またこのライヴの総ての伴奏を引き受けているピアニスト、フリーダ・バウアーの感性の鋭さとそれぞれの曲の解釈への積極的な介入も聴きどころだ。

彼女のピアノ・パートはコラボとして充実しているだけでなく、自身の強い主張が感じられ、これらの作品を一層精彩に富んだものにしている。

音色の美しさや和音の響きを損なうことなく完璧なダブル、トリプル・ストップや滑るような6連音や8連音が連続するイザイの無伴奏を聴いていると、オイストラフがこの曲集どころかバッハの無伴奏ソナタ&パルティータ全曲さえも遺してくれなかったことが悔やまれる。

もしそれらが実現していれば、音楽的にもヴァイオリン史上非常に価値の高いサンプルになっていただろう。

オイストラフが1937年のイザイ国際コンクールの覇者であることからも明らかなように、彼にとってイザイは縁の深い作曲家だ。

ここで演奏されている第3番はジョルジェ・エネスコに献呈された曲で、エネスコはまたこのCDの最後に収録されたラヴェルのソナタト長調の初演者にもなる。

ラヴェルはこのソナタの第2楽章にグリッサンドを頻繁に使った「ブルース」を挿入しているが、オイストラフのそれは決してあざとくならない、しかし演奏効果を最大限活かした洗練された表現に成功しているし、終楽章「無窮動」とのコントラストも見事だ。

ちなみに「ブルース」は昨年リリースされた同シリーズのギドン・クレーメル・プラハ・ライヴ盤にも入っていて、師弟の解釈の違いを聴き比べるのも面白い。

クレーメルは官能的だが、師匠の演奏はより軽快かつリズミカルでグロテスクな雰囲気になることを完璧に避けている。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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