2016年02月10日

ベームのR.シュトラウス:オペラ第2集


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カール・ベームの指揮したR.シュトラウスのオペラ全曲盤の第2集であるが、先ず音質について述べると、第1集が期待していたほど良いものではなかったので今回も当てにしてはいなかったが、意外にもまともな音が聞こえてきて概ね良好だ。

『エレクトラ』と『影のない女』はいずれも初期のステレオ録音であるにも拘らず、セッションということもあって2巻全8曲を通して最も良い状態で鑑賞できる。

前者はタイトル・ロールのインゲ・ボルクとオレスト役のフィッシャー=ディースカウのいやがうえにも緊張感を高める表現力が圧倒的だし、後者は世界初の全曲録音に輝いた、またR.シュトラウスの良き理解者としての実力を縦横に発揮したベームの意欲的なセッションと言える。

他の2曲はライヴでそれなりのノイズは入っているが破綻もなく、音源は鑑賞に差しつかえない程度に保たれている。

またベーム初演の演目『ダフネ』が1944年のウィーン・ライヴで収められているのも聴き逃せない。

この価格でベームの指揮したオペラ全曲盤が揃うのは朗報に違いない。

ベームの力量は作曲家自身が彼に『ダフネ』を献呈しているように、こうしたオペラ上演にも良く表れている。

高い文学的な素養が要求され、歌手への行き届いたコントロールと同時に大規模で複雑極まりないオーケストレーションを操らなければならない煩雑な作業は、彼が一般的に考えられているような堅物の指揮者のイメージからは想像できない、遥かに柔軟で融通性を持った人であったことを証明している。

また解釈も現在の私たちが聴いても違和感のない新しいもので、例えば『影のない女』での終幕の抒情性は決して耽美的ではなく、来たるべき時代の知性的で洗練された趣味を先取りしている。

10枚目はボーナスCDで、1939年から1944年にかけてのウィーンやドレスデンでの古いライヴからピックアップされた10場面が収録されている。

1曲目の『サロメ』から「7つのヴェールの踊り」は音質が一昔前の海賊盤のようで驚いたが、1939年のライヴから抜き取ったものなのでご愛嬌と言ったところだろうか。

しかしその他のトラックは時代相応の比較的良い状態で残されていて、それぞれの演奏水準も高いのが救いだ。

尚ここからは余談になるが、この時代はウィーンやドレスデンにも爆撃の危機が迫っていたにも拘らず、彼らの文化の灯を死守しようとする執拗とも思える音楽への渇望と執着には敬服せざるを得ない。

ドレスデンは1945年2月に連合軍による無差別爆撃を被ってゼンパー・オーパーは瓦礫と化したが、ウィーン国立歌劇場も爆撃によって大破する同年3月までは平然と公演が組まれていたし、被害を受けた後も拠点をフォルクス・オーパーとアン・デア・ヴィーンに移してその活動を続けた。

10年後に再建された国立歌劇場がベームの指揮によるベートーヴェンの『フィデリオ』で再び幕を開けたことも象徴的である。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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