2016年02月21日

アンセルメ&スイス・ロマンド管のチャイコフスキー:3大バレエ(全曲盤)


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一世を風靡したチャイコフスキーの“3大バレエ”の不滅の名盤で、アンセルメによるそれぞれ唯一の全曲盤。

アンセルメは80歳に近い晩年にチャイコフスキーの3大バレエを一挙に録音したが、クラシック・バレエのいわばバイブル的な作品演奏の“奥義”を後世に残す目的も少なからずあったように思える。

爛丱譽┣山擇凌斥有瓩半里気譴織▲鵐札襯瓩蓮⊆磴日にディアギレフのロシア・バレエ・リュスの専属の指揮者を務めたという経歴の持ち主で、モントゥーと共に数々の新作バレエに取り組み、歴史的な舞台に立ち会ったことは周知のとおり。

アンセルメのバレエ音楽に対する知識と実践的な技術はこの時育まれ、鍛え上げられたのである。

同時代の音楽を得意にしたアンセルメは、チャイコフスキーのバレエ音楽でも、的確なテンポを設定して、リズムを必要に応じてきちんとキープする一方で、恣意的なためを用いないアプローチを繰り広げており、作曲者特有の甘いメロディを趣味よく奏で上げている。

その軽やかで明るいアプローチは、やや好き嫌いが分かれるかもしれないが、過度にもたれることなく、よく耳になじむ演奏が展開されている。

アンセルメの演奏にはすっかり安心して身を委ねられる、何か、とても大きなものがあって、おじいさんが炉端で子供たちに語って聞かせてくれているような、そんな温かい響きがある。

《白鳥の湖》の演奏は、クールで淡泊ではあるが、推敲され尽くした精妙で入念な表現を楽しませてくれる。

メリハリには乏しい反面、淡くデリケートな色彩感がすばらしく、さらにその誇張を排したケレン味のない表情の美しさは、アンセルメならではのものだ。

《眠りの森の美女》の演奏も、表面的には少し淡泊であり、興奮や感動には欠けるが、聴くほどに味のでる熟演と言ってよいだろう。

コントロールされた表情の美しさや巧妙なリズム処理などは、この演奏の得難い聴きどころとして注目される。

几帳面かつ克明に作品を描きあげた《くるみ割り人形》も、表現傾向としては少し淡泊であるが、このバレエの童画的なおとぎの世界をきわめて巧みな演出でリアリゼしている。

作品の意味と特徴を入念に吟味した演奏であり、練達の棒さばきが特筆される名演で、いろいろなキャラクターの入り混じったこの曲全体を、見事な感情のコントロールのもとに、実に上品に、典雅にまとめてしまう。

それでも一般の聴き手にとって、アンセルメの残した録音はそれほどの価値を見いだせないかもしれないが、ダンサーにとってその評価は絶大なものとなる。

メリハリの利いたリズムや踊りに最適なテンポ、そして独特の間のとり方など、実舞台のバレエの寸法に対応した演奏であることは現代でも変わらない。

一言でいえば、アンセルメの演奏は爐修里泙淪戮譴覘瓩里任△襦

テンポの設定からリズムのとり方、そして間のとり方まで、見事に踊りに適合する。

この盤は、そういう意味ではバレエ音楽のまさに“普遍的”と言い得る演奏で、バイブル的存在といえるのである。

なお全曲盤とはいえ、録音当時に行なわれていた慣習的なカットが施されているのは、仕方のないところだろう。

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classicalmusic at 01:41コメント(1)トラックバック(0)チャイコフスキー | アンセルメ 

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コメント一覧

1. Posted by Kasshini   2016年09月16日 05:22
アンセルメの音源ですと、ケネス・ウィルキンソン録音会場今なきロンドン キングスウェイホール(録音に最適残響時間1.6秒)ロンドン交響楽団演奏のThe Royal Ballet https://www.amazon.co.jp/Royal-Ballet-Ernest-Ansermet/dp/B00IKFYYS6/ref=sr_1_3?s=music&ie=UTF8&qid=1473970274&sr=1-3&keywords=%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%BB%E3%83%AB%E3%83%A1
が、ケネス・ウィルキンソンの最高の録音として挙げられていますがどうお考えでしょうか。この頃の方が、直接音と間接音の比率が良いと耳にしていますが、未聴なので気になっています。後のショルティ指揮のマラ8は、より直接音に比重が移りますが、ホールトーンもある程度感じられてこれはこれで好ましいように思います。カラヤンのトーン・マイスターことヘルマンスよりもホールトーンは幾分少な目の印象です。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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