2016年03月07日

スヴェトラーノフ&ロシア国立響のチャイコフスキー:3大バレエ(全曲盤)


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チャイコフスキーのバレエ音楽には、アンセルメやデュトワによる洗練された色彩美を誇る名演や、プレヴィン、ボニングによる英国ロイヤル・バレエの流れを汲む名演、そしてロジェストヴェンスキー、フェドセーエフ、ゲルギエフなどによるロシア風の民族色溢れる名演などがあまた存在しているが、このスヴェトラーノフによる演奏は、前述のロシア風のあくの強い民族的な流れを最も感じさせる超個性的な名演と言うことができよう。

ラフマニノフの交響曲全集とともにスヴェトラーノフが遺した最高傑作の呼び声もある同アルバムは、今でもチャイコフスキーのバレエ音楽の最上演奏のひとつとして高く評価されている。

また再評価され高い人気を誇るスヴェトラーノフ・ファン必聴のアルバムであり、ロシア国立交響楽団のまさにロシアの広大な大地を彷彿させる咆哮サウンドは現在世界のどのオーケストラも出すことのできない強靭なサウンドである。

チャイコフスキーの3大バレエ音楽は、言うまでもなく以前からきわめて人気のある作品である。

そして、“バレエ音楽の神様”と評されたアンセルメやドラティの名演を始めとして、前述の様々な指揮者によって《白鳥の湖》《眠れる森の美女》《くるみ割り人形》の名盤がいくつも誕生するに至っている。

これらはいずれも素晴らしい名演であり、客観的な視点で評価すると、プレヴィン&ロンドン交響楽団が最も万人向けな誰にでも安心して薦めることのできる名演との評価に値すると思われるが、好き嫌いで言うと、筆者が最も好きなチャイコフスキーの3大バレエの演奏は、本BOXに収められたスヴェトラーノフによるいかにもロシア的なあくの強い演奏である。

本BOXに収められた諸曲の演奏は、おそらくはそれぞれの諸曲の演奏史上でも最もロシア的な民族色の濃い個性的な演奏と言えるのではないだろうか。

トゥッティにおける咆哮する金管楽器群の強靭な響き、あたりの空気が震撼するかのような低弦の重々しい響き、雷鳴のように轟くティンパニ、木管楽器やホルンの情感のこもった美しい響きなどが一体となり、これ以上は求め得ないようなロシア風の民族色に満ち溢れた濃厚な音楽の構築に成功している。

その迫力は圧倒的な重量感を誇っており、あたかも悠久のロシアの広大な大地を思わせるような桁外れのスケールの雄大さを誇っている。

何よりも真実味に富んだ音楽的な感興があり、しかも全体の設計に無理がなく、平衡感の強い造形で、各パートも細部までよく練られ、明晰な音楽が生まれている。

この決然とした表現はロシアの血の表明であり、聴き手を説得せずにはおかない本場物のよさがある。

バレエのダンサーからすると、このあくの強い演奏は踊るのに不向きとの声も聞かれそうだが、長編の交響詩風の演奏は他のどの指揮者よりも説得力があり、聴いた後の充足感には比類のないものがある。

まるで重量物が大きく弾む様を思い浮かばせるが、スヴェトラーノフとロシア国立交響楽団によるこうしたロシア的特質は、豪壮雄大なロシアのオーケストラの音楽の特徴を今に伝える貴重な存在と言えよう。

金管にロシア風の強烈さがあるのは当然だが、ここまで洗練された感覚美を感じさせるのはロシアのオケではあまり例がない。

いずれにしても、ロジェストヴェンスキー、フェドセーエフ、ゲルギエフなどのロシア系の民族色の強い演奏の系譜の中では、このスヴェトラーノフの演奏はその最右翼に位置する破格の名演として高く評価したいと考える。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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