2016年04月17日

モントゥー&ローマ・オペラ座のヴェルディ:歌劇『椿姫』


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モントゥーが1956年にローマ・オペラ座で行ったセッションで、歌手達の伝統的な歌唱法をある程度許容してイタリア・オペラの醍醐味を損なうことなく、全体を隙なくまとめてみせた手腕は流石だ。

モントゥーのオペラ全曲盤は、彼の経歴からすれば意外なくらい少なく、しかもこのセッションでは彼が得意としたフランスものや20世紀のロシア物ではなく、ベル・カントの牙城ヴェルディを採り上げているのが更に興味深いが、イタリアのマエストロと聴き違えるくらい声の魅力を活かし、簡潔にドラマを描く力量に改めて感心させられた。

歌手の抜擢もかなり堅実で、主役のヴィオレッタにはコロラトゥーラ・ソプラノではなく、リリコ・スピントのカルテリを使って、主人公の意志の強さと物語としての筋道を明確にしている。

輪郭のはっきりした美声で高音にも恵まれていた彼女は、こうした性格的な役柄には充分に実力を発揮している。

一方アルフレード・ジェルモンには当時既にマリア・カラスと同オペラで場数を踏んで、1953年からはニューヨークのメトロポリタンにも登場していたヴァレッティを使っている。

彼の声はテノーレ・ディ・グラーツィア、つまり優雅なテノールとして分類されていて、決して声量で圧倒するタイプではないが恩師スキーパ譲りの無理のない理知的な歌唱が、一途な青年アルフレードの性格を良く描き出している。

そして彼の父ジョルジュ・ジェルモン役のウォーレンだが、彼は対照的に大音声を誇ったバリトンでいくらか癖のある歌い回しがスタイリッシュで面白みもあるが、モントゥーは要所要所でしっかりと制御している。

『椿姫』ではオーケストラの聴きどころに第1幕及び第3幕への前奏曲がある。

それぞれが劇中に出てくるモチーフを繋いだ短いオーケストラル・ワークだが、ここにもモントゥー特有のオーケストラへの巧みな采配と曲想に対するデリカシーが横溢している。

特に終幕のそれはしばしば聴かれる病的な脆弱さや安っぽい感傷を避け、ヴェルディの様式を重視して中庸のテンポと明朗な響きを堅持している。

ローマ・オペラ座管弦楽団はスカラ座ほどネーム・バリューはないにしても、かつてはマスカーニの『カヴァレリア・ルスティカーナ』やプッチーニの『トスカ』を初演した伝統を持っていて、オペラにその本領を発揮するオーケストラだけあって、響きは薄いが融通の利く柔軟性でモントゥーの指揮に良く呼応している。

先頃リリースされたRCAへのコンプリート・レコーディングスに加わっていたものと同一のリマスター音源を使っているために、モノラル録音ながら音量レベルが上がり、充分に鮮明な音質で鑑賞できる。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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