2016年04月21日
オイストラフ&ロジェストヴェンスキーのチャイコフスキー&シベリウス:ヴァイオリン協奏曲、他
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このCDに収録されたオイストラフのソロによるチャイコフスキー及びシベリウスのヴァイオリン協奏曲は、10年ほど前にメロディアのオイストラフ・エディション第1巻に組み込まれた、どちらもゲンナジー・ロジェストヴェンスキーとのライヴ録音で、入手困難になっていたが、忘れられない名盤の待望の復刻である。
前者が1968年7月27日のモスクワ放送交響楽団、後者と最後に置かれているシベリウスのヴァイオリンとオーケストラのための2曲の『ユモレスク』が1965年7月23日のモスクワ・フィルハーモニー交響楽団との協演と記載されているが、何故かメロディア盤とはオーケストラの名称が逆になっている。
新しくリマスタリングされているので、この時期のモスクワ・ライヴとしてはオイストラフのソロも鮮明に再現されているが、チャイコフスキーの方は録音データが新しいにも拘らず、モノラル録音で電気的に音場を拡げた擬似ステレオらしく、オーケストラ側の分離、解像度はいまひとつだ。
また残響がやや過剰で、演奏終了後のホール内にエコーのような歪んだ響きが残ってしまっている。
シベリウスは状態の良好な正真正銘のステレオ録音で、リマスタリングの効果も一層明瞭で艶やかな音質が再現されている。
尚このジェニュイン・ステレオ・ラブ・シリーズは同じプラガ・ディジタルスからリリースされているSACDではなく、従来のレギュラー・フォーマットであることに注意する必要がある。
演奏に関しては指揮者ロジェストヴェンスキーの激しさに感化されてか、オイストラフもセッションでは聴けないようなドラマティックな表現が特徴で、ソロもオーケストラも燃え切っていて、いずれも屈指の名演と言えるものだ。
チャイコフスキーでは終楽章の噴出するような情熱が通常のオイストラフのイメージでもある磐石な安定感とは異なった意外とも思える彼の一面を見せていて興味深い。
オケが土俗感丸出しで荒れ狂い、オイストラフがそれに応えるあたりの凄まじさは、ライヴならではの聴きものである。
一方シベリウスの協奏曲はハチャトゥリアンのそれと並んで他の追随を許さないほどのオイストラフの十八番であった。
シベリウスらしい北欧の香りにはいささか乏しいが、弱音を重視した流麗な演奏であり、オイストラフがこの音楽に身を捧げているかのような愛情が感じられる。
特に、第2楽章の哀調や、ほとばしる情熱が聴きもので、厳しく気迫のこもった演奏を聴かせている。
ロジェストヴェンスキーの創り出すブラス・パートの咆哮がこの曲のシンフォニックな側面を強調しているが、オイストラフの応酬も凄まじく躍動的で大きなスケール感を堪能させてくれる。
尚シベリウスは作品87の2曲及び作品89の4曲の計6曲の『ユモレスク』を作曲していて、ここに収められているのは前者の方だが、それぞれがオーケストラ付の機知に溢れた小品で、第2曲ではオイストラフの溌剌としたソロが無窮動的な曲想を更に生き生きと描き出している。
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