2016年05月01日

ワイセンベルク/グラモフォン・レコーディングス


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ユニヴァーサル・イタリーの企画によるアレクシス・ワイセンベルクのドイツ・グラモフォン音源4枚分をまとめたもので、彼の50代の円熟期を代表する演奏が揃っている。

ワイセンベルクの主だったレパートリーの録音はEMIやエラートに行ったもので、ワーナーのイコン・シリーズからは既に10枚組のボックス・セットがリリースされているが、彼の円熟期の芸術性が堪能できる音質に恵まれたグラモフォン盤の廉価盤化は歓迎したい。

尚収録曲目に関しては幸いこのアマゾンのページのイメージ欄に写真がロードアップされているので参考にして頂きたいが、17ページほどのライナー・ノーツにはワイセンベルクのキャリアとそれぞれの曲についての解説が英、伊語で掲載されている。

ワイセンベルクにとって重要な作曲家の1人がバッハで、このセットでの2曲のパルティータと『イタリア協奏曲』は彼の最も充実した時期の演奏だけに興味深い。

楽理的にバッハらしい演奏かというと決してそうではないが、パルティータはバッハの組曲の中では最も後期の作品集で、それまでのオーソドックスな形態に縛られない自由な着想で書かれているために、ワイセンベルクの奔放とも言える音楽性がかえって多彩な魅力を引き出している。

一方でスカルラッティの15曲のソナタではダマスク織に真珠が零れ落ちるような贅沢な音色の美しさと彼の才気煥発な表現力が示されていてこちらも聴き逃せない。

ドビュッシーの小品では驚くほどのデリカシーと機知に溢れた構想が感じられるが、中でも『喜びの島』では豪快なピアニズムを聴かせ、『レントより遅く』ではワイセンベルクの愛したジャズからの影響も窺わせている。

最後のラフマニノフの2曲のソナタでは超一流の名人芸を披露しているだけでなく、作曲家の拭い去り得ないメランコリーの表出も彼の円熟期の面目躍如たる演奏で、ワイセンベルクがラフマニノフにも引けを取らないロマンティストだったことを証明している。

一廉の芸術家の中には望むと望まざるとに拘らず一度その活動を休止して、様々な意味での充電期間を設けるケースがままある。

ピアニストでもホロヴィッツ、ルービンシュタイン、ポリーニ、ガヴリーロフ、ポゴレリチなどそれぞれ期間の長さとその時期や理由は異なっているが一時期完全に演奏活動から離れている。

ワイセンベルクも例外ではなく27歳の頃からおよそ10年に亘って楽壇から姿を消し、壮年期になってパリで返り咲いている。

ワイセンベルクはブルガリアのソフィア出身だがユダヤ人迫害から逃れてニューヨークのジュリアード音楽院で学んだ、極めてインターナショナルなプロフィールと感性を持った異色のピアニストであった。

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classicalmusic at 22:08コメント(0)トラックバック(0)ワイセンベルク  

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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