2016年05月03日

ジュリーニのヴェルディ:レクイエム、聖歌四篇[SACD]


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今回ワーナーからSACD化されたカルロ=マリア・ジュリーニ演奏集の1組で、中でもヴェルディの『レクイエム』の音源は演奏水準が極めて高い上に当時のEMIとしては録音状態が抜きん出て素晴らしいが、レギュラー・フォーマットのCDでは音質がいくらか持て余し気味だった。

特に「怒りの日」ではパーカッションの爆音とともにフィルハーモニアの総奏が凄まじいばかりの音響効果を上げているが、再現の方が殆んど限界に達していて音場に余裕がなかった。

このSACDでは伸びの良い拡がりのある奥行きと細部まで鮮明に聴き取れる音質が確保されていることを評価したい。

ジュリー二の同シリーズではラヴェル作品集がやはりSACDで同時にリリースされている。

尚演奏については、通常盤に書き込んだレビューを以下に再掲載させて頂くことにする。

録音は1963年から64年にかけて行われ、当時の実力派4人のソリストを従えた演奏はその音楽的な水準の高さと、音響の生々しさでグラン・プリ・デュ・ディスクやエディソン・プライスを受賞している。

「怒りの日」での最後の審判を体現させるような激情的な表現はジュリーニが遺したあらゆるセッションの中でも最もラテン的な情熱を発散させたもので、彼の創造した音響効果だけではなく、一方で緻密に計算された弛むことのない緊張感と、それを維持する集中力が聴きどころだ。

ソロ歌手のキャスティングでは実力重視の抜擢が功を奏している。

それは4人の歌唱力に限ったことではなく、重唱部分では和声の微妙なモジュレーションの連続があり、正確な音程の維持と和声の移行という高度なアンサンブルのテクニックが要求されるが、その意味でもこのメンバーは万全だったと言えるだろう。

シュヴァルツコップは1952年のデ・サーバタ盤でもその驚異的な歌唱を披露したが、ここではやや翳りが出てきた声質を巧みな表現力でカバーして、よりドラマティックな名唱を遺すことになった。

クリスタ・ルートヴィヒとのオクターヴ・ユニゾンのア・カペラで始まる「アニュス・デイ」の天上的な美しさや、最後のコーラス「リベラ・メ」に入る前の「レクイエム・エテルナム」の神々しさは唯一無二のものだ。

ヴェルディの『レクイエム』はミラノ出身の文豪アレッサンドロ・マンゾーニ追悼のために作曲されたもので、現在では宗教曲として実際に教会内で演奏されることはそれほど多くない。

それはこの曲が如何にもヴェルディらしい劇場空間に相応しい華麗なオーケストレーションの音響とともに、ベルカントの泣き節とも言える曲想を持った声楽部分があたかも1曲のオペラのように展開するからで、それだけにオペラ劇場とその専属の演奏者によるセッションも少なくない。

このジュリー二の旧盤は古いデ・サーバタ、ミラノ・スカラ座盤と並んで個人的に最も気に入っている演奏で、その理由はオーケストラとコーラスが厳格に統制されているにも拘らず、外側に向かって放出される解放的なエネルギーに充ちていて、異例のカタルシスを体験できるからだ。

フィルハーモニア管弦楽団はロンドン時代のジュリーニが最も高く評価していたオーケストラで、この演奏にも彼らの信頼関係が良く表れている。

このCDには同じくヴェルディの『聖歌四篇』が1962年の録音で同メンバーとジャネット・ベイカーのメゾ・ソプラノでカップリングされている。

フィルハーモニア合唱団も流石にコーラス王国イギリスの合唱団だけあってその表現力と機動性でも卓越している。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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