2016年05月24日

アバド&スカラ座のヴェルディ:レクイエム(リハーサル風景)


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アバドの80歳記念企画としてDVD化された作品だが、奇しくも追悼盤になってしまったことが悔やまれる。

このフィルムは1985年にノルベルト・バイハーツ監督によって制作された、ヴェルディの『レクイエム』からリハーサル風景のみを撮ったもので、イタリアの文豪アレッサンドロ・マンゾーニの生誕200周年記念としてミラノのサン・マルコ教会で催されたコンサートのための音楽稽古が約2時間に亘って編集されている。

同曲はまさにマンゾーニの葬儀のために作曲されたが、その後この曲のオペラティックな曲想や大規模なオーケストラとコーラスの編成が演奏会場を選んでしまうことからオペラ劇場やコンサート・ホールでの上演が多いが、この教会は彼の国葬が行われた『レクイエム』初演ゆかりの地でもある。

撮影の場所は会場となったサン・マルコ教会と、オーケストラとコーラスの本拠地ミラノ・スカラ座及び同劇場のリハーサル・ルームの三箇所で、ピアノ伴奏による4人の歌手の下稽古、オーケストラとコーラス、そしてソリストを含めたゲネプロがバイハーツ監督の手腕で音楽的にも巧みに繋げられているが、演出的な手法は採らず、ドキュメンタリー・タッチでアバドの曲作りを追っている。

アバドは決してうるさいタイプの指揮者ではない。

むしろ楽員や歌手の自主性を尊重しているように見える。

それはこの時期彼がスカラ座の芸術監督の地位にあり、オーケストラもコーラスも彼の手兵であったことも強みだったに違いない。

楽理的な発言は少ないが、とにかく演奏させて曲を構成していくアプローチが明らかで、感覚的な部分とのバランスがとれた人間性に溢れた練習風景が展開する。

この演奏会のためにソプラノとテノールはダブル・キャストが組まれていたらしく、モンセラート・カバリエとチェチリア・ガスディア、ペーター・ドヴォルスキーとクリス・メリットが交替して画面に登場するが、何故かオーケストラ合わせのリハーサルでは常にカバリエとドヴォルスキーのみが歌っている。

しかしアバドが起用した歌手だけに、それぞれが美声を誇っているだけでなくきめ細かい表現力においても優れた力量を発揮している。

今は亡きコントラルトのルチア・ヴァレンティーニ=テッラーニの全盛期の歌唱を聴けるのも有難いし、またバスのサミュエル・ラミーのスタイリッシュで堂々たる歌いぶりも懐かしい。

一方カバリエはこのゲネプロで最後にピアニッシモで伸ばす高音を歌わずに済ませたが、演奏終了後にアバドに笑いながら言い訳をしている。

いつもながら彼女は茶目っ気たっぷりだが、自分の声を安売りしないという狡猾さも歌手にとっては大切なことなのかも知れない。

リハーサル中アバドは勿論イタリア語で指示を出しているが、イタリア語を解さないクリス・メリットには英語で話しかけている。

リージョン・フリーでナレーションはドイツ語だが、字幕スーパーは英、独、仏、スペイン語が選択でき、9ページほどの写真入ライナー・ノーツも付いている。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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