2016年05月29日

シェリングのブラームス&チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲、ラロ:スペイン交響曲、他


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1958年録音のブラームスのヴァイオリン協奏曲は過去にXRCDヴァージョンでもリリースされて、その鮮烈な演奏と臨場感溢れる音質で名盤の誉れの高いものだが、ブラームスに造詣が深かったモントゥーの豊かで変化に富んだダイナミズムに絶妙に呼応するロンドン交響楽団の底力も特筆される。

シェリングのヴァイオリンはその後の2回の再録音(ドラティ1962年、ハイティンク1974年)では聴けない、突き進むような情熱に支配されていて、人後に落ちない完璧なテクニックもさることながら、彼の潔癖ともいえるクリアーな音色と怜悧な音楽性も堪能できる。

彼はまたアンサンブルの分野でも優れた録音を少なからず遺している。

ルービンシュタイン、フルニエと組んで同じくRCAに入れたブラームス、シューベルト及びシューマンの一連のピアノ・トリオの他にもグラモフォンにはケンプ、フルニエとのベートーヴェンのピアノ・トリオ集がやはり傑出したサンプルと言えるだろう。

ここに組み込まれたブラームスのホルン三重奏曲はジョゼフ・エガーのホルン、ヴィクター・バビンのピアノで、シェリングが管楽器と行ったアンサンブルでは殆んど唯一の貴重な録音ではあるが、エガーのソロがいくらか不安定でそれほど魅力がなく、また音量がフォルテになると再生し切れない音源上の問題もある。

1959年のシャルル・ミュンシュ、ボストン交響楽団とのチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は、オーケストラの機動力を駆使した速めのテンポで通した推進力が全曲を貫いている。

中でも終楽章のたたみかけるようなフィナーレは圧巻だ。

シェリングのソロは細やかなニュアンスの変化や余裕を持った多彩な音楽性の表出では、後のハイティンクやメータとの協演に一歩譲るが、この演奏からはブラームスの協奏曲に相通じる漲るような覇気が伝わってくる。

穏やかな第1楽章のカデンツァや第2楽章においても甘美というより、弛緩のない緊張感の持続で歌い切る凛としたカンタービレが特徴的だ。

同じく1959年のワルター・ヘンドル、シカゴ交響楽団とのラロのスペイン交響曲では、名手サラサーテの演奏を前提にしたラテン的な熱狂とは一線を画した、シェリング特有のキレの良い高踏的ロマンティシズムが聴きどころだろう。

彼は5つの楽章のそれぞれの構成と様式に則って堅実にまとめているが、第4楽章アンダンテでも決して耽美的な美しさではなく、あくまでも交響曲の中のひとつのエレメントとして捉えている。

惜しむらくはヘンドルの指揮が閃きに乏しいいくらか凡庸な印象があり、シカゴ響の実力が縦横に発揮されているとは言えないことだ。

特に新しいリマスタリングの表示はないが音質は1950年代後半の初期ステレオ録音としては、前述のホルン三重奏曲を除いて極めて良好で、ブラームスのXRCDには及ばないとしても充分満足のいく音響が再現されている。

尚ライナー・ノーツには廉価盤の宿命と言うべきCD初出時の焼き直しの日本語解説が掲載されている。

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classicalmusic at 22:47コメント(0)トラックバック(0)シェリング | モントゥー 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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