2016年05月31日

アルゲリッチのソニー・コンプリート・レコーディングス


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昨年マルタ・アルゲリッチのドイツ・グラモフォンとフィリップス音源を中心とするセッション及びライヴ録音がユニヴァーサルから48枚組のボックス・セットに集大成された。

また近年彼女が頻繁に録音しているもうひとつのレーベルが旧EMIで、それらも現在ワーナーからセット物で随時リリースされているが、一方この5枚組はソニー・コンプリート・レコーディングスと銘打った1975年から92年にかけて彼女がRCA、ソニー、リコルディに散発的に録音したレパートリーをまとめたものになる。

レーベルについては協演者の契約会社にも関係していると思われるが、特筆されるのはアルゲリッチの演奏集としてはソロ、アンサンブル共にかなりレアな曲目が含まれる限定盤ということで、ファンにとっては欠かせないコレクションになるだろう。

リマスタリングされた音質はCDによって多少ばらつきがあるが、リマークすべき欠点はなく極めて良好。

CD1プロコフィエフのフルート・ソナタは本来フルートのために作曲され、オイストラフの助言でヴァイオリン版に編曲された経緯があるが、ゴールウェイのオリジナリティーを発揮した華麗なフルートの音色が魅力だし、積極的に介入するアルゲリッチのピアノが作品により一層の精彩を与えてフレッシュなデュエットに仕上がっている。

一方フランクのフルート・ヴァージョンによるソナタは彼女の唯一の録音で、フルートの艶やかさと相俟ってコケティッシュな雰囲気が醸し出された演奏が秀逸だ。

CD2は彼女が後にレパートリーから外してしまったシューマンの『幻想曲』がレア音源だが構成力ではやや弱く、むしろ多彩な音楽性が面目躍如の『幻想小曲集』が聴きどころだろう。

またCD3イヴリー・ギトリスとのフランクとドビュッシーのヴァイオリン・ソナタも貴重なセッションで、ギトリスの渋めだが妖艶な音色と奏法に従うアルゲリッチとしては異色の協演になっている。

CD4ベートーヴェンは彼女が繰り返して録音している十八番だが、ここではロンドン・シンフォニエッタの弾き振りがセールス・ポイントで、ハイドンでは音量を巧みに制御しながら機知に富んだ感性で弾き切っている。

尚この曲で彼女はワンダ・ランドフスカの手になるカデンツァを演奏していて、中でも第2楽章のそれは古典的とは言えないが可憐な趣を持っている。

最後の1枚はアバドとの協演で、リヒャルト・シュトラウスの『ブルレスケ』とスクリャービンの交響曲第5番『プロメテ−焔の詩』が収録されている。

アバドとのグラモフォン盤は昨年ユニヴァーサルから5枚組で出ているが、勿論この2曲は含まれていない。

気の利いたオーケストレーションをバックに華麗なピアニズムが展開する『ブルレスケ』は、アルゲリッチの師であったフリードリッヒ・グルダのレパートリーでもあり、彼の影響が少なからずあったことが想像される。

瑞々しい感性を超絶技巧に託したソロが冴え渡っている。

尚グルダの弾く同曲は最近プラガからリリースされたベーム、ウィーン・フィルとのSACD盤がある。

スクリャービンの第5番は大編成のオーケストラにピアノ、オルガン、コーラスが加わる作曲家最後の交響曲で、新時代の音楽に強かったアバドの力量が示された色彩感豊かな演奏が注目される。

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classicalmusic at 22:41コメント(0)トラックバック(0)アルゲリッチ  

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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