2016年06月09日

クーベリックのバルトーク:歌劇『青髭公の城』(1962年ルツェルン・ライヴ)


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一昨年2014年はラファエル・クーベリック生誕100周年に当たり、これまでにリリースされていなかった音源がCD化されるのはオールド・ファンにとっては幸いだが、この演奏はそれ以上に普遍的な高い価値を持っていると思う。

1962年8月15日のルツェルン音楽祭からのライヴ録音で、モノラルだが音質自体は良好である。

ライナー・ノーツによればこの日の演目はベートーヴェンの『エグモント序曲』とモーツァルトの交響曲第40番ト短調及びここに収められたバルトークのオペラ『青髭公の城』の演奏会形式によるドイツ語上演で、本来予定されていたフリッチャイの容態が悪化したために奇しくも同い年だったクーベリックが指揮台に立ったようだ。

フリッチャイにとっては師に当たるバルトークの作品の上演が実現されていれば、それはそれで貴重なライヴになったには違いないが、クーベリックは作曲家の野太く鮮烈な音響の再現と同時に、フィッシャー=ディースカウとゼーフリートの歌唱を鮮やかに引き立てている。

血塗られた暗い雰囲気のオペラだが、クーベリックがスイス祝祭管弦楽団から導き出す音色は色彩感に富んでいて、バルトークが単に不気味なオーケストレーションを施しているのではないことが理解できる。

そこには音響による闇と光りの世界の強烈な対比が描かれ、また心理描写では人後に落ちないフィッシャー=ディースカウによる青髭公の精緻な歌唱が彼の閉ざされた心理状態を克明に再現し、ゼーフリートの清楚な声での絶唱がかえってユディットの奔放な性格を引き出させて、この作品のおぞましさを際立たせている。

尚オーケストラは現在のルツェルン祝祭管弦楽団の前身になるが、流石に名立たる指揮者やソリストとの協演が多いために音楽的な水準は極めて高く、終曲の後も長く余韻を残す弛緩のない演奏が素晴らしい。

デジパックに挿入された35ページほどのライナー・ノーツにはクーベリックのキャリアと、この作品についてのコメントが独、英、仏語で掲載されている。

また演奏会当日の貴重なスナップも数葉加えてこの手のCDとしては充実した内容になっているが、残念ながら歌詞対訳は省略されている。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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