2016年06月17日

ヴェンツ&ムジカ・アド・レーヌムのフリードリッヒ大王のためのフルート作品集


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「ベルリンのバッハ、フリードリッヒ大王のためのフルート作品」と題された1枚で、大バッハが大王に招かれて1747年にベルリンを訪問した当時の宮廷楽団のメンバー達によるフルートのためのアンサンブル作品を4曲収録している。

1曲目のトリオ・ソナタハ短調は大王がバッハに3声及び6声のリチェルカーレの即興演奏を所望した際に、自らクラヴィーアを弾いて与えた主題をもとに作曲された。

彼はライプツィヒに帰ってから2ヶ月後にこの主題を駆使した高度な対位法作品集『音楽の捧げ物』BWV1079を大王に献呈しているが、トラヴェルソとヴァイオリンが指定された4楽章のトリオ・ソナタもその一部をなしている。

ヴェンツとムジカ・アド・レーヌムの演奏は速めのテンポを設定して、古楽特有の古色蒼然とした響きとは一線を画した、垢抜けたモダンな音響を創造しているが、ハ短調というトラヴェルソにとっては不得手な調性にも拘らず、ヴェンツによって生き生きと鮮やかに再現されている。

それに続くヤーニチュとグラウン、そしてバッハの次男カール・フィリップ・エマヌエルも大王の宮廷楽団のメンバーで、大バッハの対位法の妙技を尽くした神秘的で神々しい作風とは明らかに異なった、来るべきギャラント様式への移行を示していて興味深い。

3曲共に装飾的な要素の強い明るい響きを持った曲想で、厳格な対位法がもはや作曲上のテクニックとしてのエレメントになっているのも聴きどころだろう。

18世紀中葉のヨーロッパで最も高い文化と理想的な芸術環境を形成していた都市のひとつがベルリンで、プロシャ王フリードリッヒ2世はポツダムのサン・スーシ宮殿を洗練された文化の牙城として余暇を楽しんだ。

彼の宮廷楽団は大バッハの次男でチェンバリストのカール・フィリップ・エマヌエルを含めた12名の器楽奏者から成り立っていたが、彼らの他に別格的な作曲家で大王のトラヴェルソ教師でもあったクヴァンツがいた。

大王のトラヴェルソ奏者としての腕前はプロ級だったことから数多くの横笛のための作品が献呈されたが、斬新な作曲技法の試みを厭わなかったカール・フィリップ・エマヌエルは、少なくとも大王の趣味には合わなかったために、当時の宮廷では不当に低い待遇を受けていたようだ。

ムジカ・アド・レーヌムのメンバーはそれぞれがピリオド楽器を使用しているが、この録音に関してはライナー・ノーツに楽器名が書かれていない。

バロック・ヴァイオリン及びヴィオラがマンフレード・クレマー、チェロがブラス・マテ、チェンバロがマルセロ・ブッシで、ヤーニチュとグラウンではマリオン・モーネンが第2トラヴェルソを担当している。

1995年にオランダ、デルフトの教会で行われたセッション録音で音質は極めて良好。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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