2016年06月23日
ワーナーのR.シュトラウス記念企画第2巻(オペラ)
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一昨年2014年のリヒャルト・シュトラウス生誕150周年記念としてワーナー・クラシックスからリリースされた3巻のセット物のひとつで、彼が生涯を通じ意匠を凝らして作曲を続けた舞台作品の中から、10曲のオペラがEMI音源で集められている。
バジェット価格盤なので歌詞対訳等は省略されているが、R.シュトラウスのスペシャリスト達による、これだけのレベルの演奏が一同に会する企画は、こうした機会でもなければ揃えられなかった作品があるだけに歓迎したい。
ライナー・ノーツは23ページほどで、曲目及び録音データ、全演奏者名と年代を追った作曲家のオペラ制作についての簡易なリマークが掲載されている。
指揮者とオーケストラの内訳を見ると、10曲のオペラのうち5曲までがサヴァリッシュの指揮で、フィルハーモニア管弦楽団との『カプリッチョ』を除いた4曲『エレクトラ』『影のない女』『インテルメッツォ』『平和の日』の総てがバイエルン放送交響楽団との協演になる。
舞台に掛けることが困難なR.シュトラウスのオペラ全曲上演の偉業を成し遂げたサヴァリッシュの実力がここでも証明される結果になっている。
尚バイエルン放送交響楽団はこのセットでハイティンク指揮する『ダフネ』にも参加している。
一方カラヤンはウィーン・フィルを振った『サロメ』及びフィルハーモニア管弦楽団との『ばらの騎士』の2曲で、その他にケンペ、シュターツカペレ・ドレスデンによる『ナクソスのアリアドネ』、そしてヤノフスキと同ドレスデンが組んだ『無口な女』の全曲演奏が収録されている。
音質で優れているのが意外にもこの2曲で、どちらもドレスデンのルカ教会でのセッションになるが、当時EMIとも共同制作をしていた旧東ドイツの国営レコード公団ドイツ・シャルプラッテン社の高い技術水準を示していて、それは同時にリリースされたケンペ指揮、シュターツカペレ・ドレスデンのオーケストラル・ワーク集9枚組の方で堪能できる。
ヤノフスキの『無口な女』は筆者の記憶に誤りがなければ、カットなしの唯一のセッションで3枚のCDを当てている。
この曲の初演指揮者カール・ベームによる1959年のザルツブルク・ライヴがメンブランから復活したが、そちらのほうは当時のスター歌手を揃えていながら、ベーム自身によるカット版が採用されている。
その意味でもこのオペラのオリジナルの形を知ることができる貴重なサンプルである。
カラヤンの『サロメ』はウィーン・フィルと妖艶な音響を作り出していて、ベーレンスのサロメ、バルツァのヘロディアス、ベームのヘロデ、ヴァン=ダムのヨハナーンのそれぞれも適役で、ワイルドの戯曲の背徳性を増幅させている。
また『ばらの騎士』についてはウィーン・フィルとの1984年のセッションの豊潤さに比べて、よりフレッシュでシュヴァルツコップやルートヴィヒなど一世を風靡した芸達者のキャスティングが聴き逃せないが、更にデニス・ブレインのホルン・パートもこの演奏に花を添えている。
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