2016年07月03日
ベーム&ベルリン・フィルのベートーヴェン:交響曲第2番、モーツァルト:交響曲第34番、ストラヴィンスキー:バレエ組曲『火の鳥』(1968年ライヴ)
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英テスタメントからの新譜で2枚のベーム初出音源がリリースされた。
こちらは1968年8月11日のザルツブルク音楽祭での祝祭大劇場でのライヴ、もう1枚のブルックナー第8番が1969年のベルリン・ライヴでどちらもベルリン・フィルとの共演になる。
この日のプログラムはベートーヴェンの交響曲第2番ニ長調、モーツァルトの交響曲第34番ハ長調、そしてストラヴィンスキーのバレエ組曲『火の鳥』で、いずれもベームによって磨き抜かれたレパートリーだけにセッションも含めて複数の音源が遺されている。
残響の少ないややデッドなサウンドだが音質は鮮明で、またヒス・ノイズも客席からの雑音も無視できる程度のものなので鑑賞には全く不都合はない。
ベームのベートーヴェンの交響曲第2番にはどの録音でも特有の新鮮さが感じられる。
彼はこの作品の普遍的な価値を知り尽くしていて、それだけに何時でも初心に返って作曲家への敬意とその演奏に迸るような情熱を失うことがなかったからであろう。
作曲家若書きの作品を彼のような大指揮者が繰り返し演奏することはむしろ稀ではないだろうか。
モーツァルトも端正だが生気に溢れた瑞々しい演奏で、第3楽章メヌエットのトリオでは当時のベルリン・フィルの首席奏者達による巧みなやりとりが聴きどころだ。
他の曲にも共通しているが、この時期にはフルートのカールハインツ・ツェラー、オーボエのローター・コッホ、そしてクラリネットのカール・ライスターなどのスター・プレイヤーがその美しい音色と技を競い合っていたベルリン・フィル黄金時代に当たる。
ベームは同郷のカラヤンと違ってラテン系の作品には触手を伸ばさず、頑固一徹を地で行くようにゲルマン系の作品に拘った。
そうした中で例外的に採り上げたのがチャイコフスキーからストラヴィンスキーに至るスラヴ系作曲家の幾つかの作品で、『火の鳥』はベームが自分自身で納得して繰り返し演奏できる曲でなければ採り上げなかったレパートリーのひとつとして完全に定着していた。
非常に几帳面な仕上がりで、管弦楽の色彩感や幻想的な雰囲気を強調するのではなく、楽譜から誠実に読み取った作曲家のメッセージをひたすら精緻なアンサンブルと揺るがせにしないリズム感や全オーケストラのダイナミズムで導いていく再現は如何にも彼らしい。
しかし決して肩の凝る演奏ではなく、ベルリン・フィルの実力をフルに発揮させる高揚感には格別なものがある。
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