2016年07月05日

ヘブラーのシューベルト7枚組セット


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モーツァルトの権威でもあったイングリット・ヘブラーは、早くからシューベルトのピアノ・ソナタの録音も積極的に行っていた。

この7枚組のセットは彼女が1960年からほぼ10年に亘って残したフィリップス音源をまとめたもので、2種類のモーツァルト・ピアノ・ソナタ全集と並ぶ価値の高いアルバムとしてお薦めしたい。

その特徴はそれぞれの曲の古典的な様式感をしっかりと押さえながら端正な弾き込みですっきりまとめているところにある。

シューベルト晩年のソナタでは、リヒテルの喜怒哀楽を遥かに超越した言い知れぬ諦観を感じさせる哲学的な深みが忘れられないが、ヘブラーのそれは異なったポリシーによる、むしろロマン派的解釈の深入りを避けた、サロン風の洗練された手法が対照的な演奏だ。

しかしそこには仄かな哀愁が漂っていて、歌曲作曲家としての詩情の表出やダイナミクスの変化も豊かで、しばしば指摘される作品の冗長さも感じさせない。

シューベルトは未完成のものも含めるとピアノ・ソナタを21曲ほど作曲しているが、ヘブラーはこのうち12曲を採り上げている。

勿論その中でも代表作になる第18番『幻想』及び第19番から第21番までの最後の3部作も含まれるが、未完の第15番『レリーク』は選択から漏れている。

またここには幻想曲『さすらい人』がないのも残念だが、その他の小品は磨きぬかれたテクニックで弾いた珠玉のセッションが揃っていて、決して個性の強い演奏ではないが、そのテンポの取り方やタッチの処理も真似のできないようなエレガンスと機智が感じられる。

尚CD5と7に収録された4手連弾用作品ではルートヴィヒ・ホフマンとの協演になる。

フィリップスの音源は極めて良好で、時代を感じさせない瑞々しい音質が得られている。

このコレクターズ・エディションは最近パッケージを一新して、内部もシンプルな紙ジャケットになったが、内容的には見るべきものが多くこれからのリリースにも期待できるシリーズのひとつだ。

ライナー・ノーツは22ページで、曲目及び録音データの他に、英、仏、独語による簡易な解説付。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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